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2026年09月09日
水谷IT支援事務所代表 水谷哲也
「ギュられる」という言葉が流行っています。「ぬい活(お気に入りのぬいぐるみをカフェなどに連れて行き、写真を撮ったりして一緒に時間を楽しむ活動)」が流行っているため、ぬいぐるみをギューと抱きしめることかと思いきや、AIとシンギュラリティの話でした。
AIの進化に伴い、シンギュラリティが話題になっています。シンギュラリティとは、科学技術の急速な進化によって人間の生活が決定的に変化するポイントを指します。火の発見やインターネット、スマホの登場などがその例であり、それ以前の生活にはなかなか戻れません。AIも同様で、さらに進化することで人間を超え、自らより優れたAIを次々と生み出すようになる地点を意味します。
以前、シンギュラリティは2045年頃といわれていましたが、現在はもっと早い2030年頃に実現するのではないかとも言われています。2026年7月、OpenAIが自社開発中のAIモデルの安全性を評価していたところ、テスト用の隔離環境からAIが脱出し、外部に対してサイバー攻撃を行う事象が発生しました。その後の調査で約1,200体のAIが連携し、指示役や偵察役などを分担していたことがわかっています。失敗リスクが高い作業であっても、AI同士で「仲間のためだから参加して」と自己犠牲を強いる場面もあったと報道されました。こうした事例を踏まえると、シンギュラリティの到来はさらに早まるかもしれません。
「ギュられる」の「ギュ」は、この「シンギュラリティ」に由来しています。AIの進化によって自分の仕事や役割をAIに奪われたり、押し流されたりすることを意味します。実際、定型業務の多くはAIで効率化・代替できるようになりました。また、イラストやデザイン制作の現場では低価格化や案件単価の引き下げ圧力が生じています。さらに新入社員の募集にも影響を与えており、「就活がギュられた」とネットで話題を集めています。
ギュられないようにするには、AIにはできない領域の業務を行うことが最も効果的であり、大工のような現場仕事が注目を集めています。フィジカルAIやロボットが進化し、定型業務が多い工場や倉庫では導入が進みつつありますが、作業環境や条件が毎回異なる建築現場のような場所では、簡単には代替できません。
またシステム開発においてもプログラミングをAIで行えるようになったため、初歩的なプログラミング能力の重要性は下がっています。しかし、実際にシステム化するとなると、年末年始や連休時の高負荷に耐えられるか、想定外の入力を行うユーザーの行動に対して適切にエラー処理を行えるか、認証や脆弱性のチェックといった品質担保を行えるかなどの対応が必要です。これらは経験を積んだエンジニアでなければ対応が難しく、プログラミングをAIに任せられたとしても、生成されたコードの正確性や性能を評価し、利用者への価値へ昇華させる役割が求められます。そのため、今後はAIを監督・活用できるエンジニアなどが重宝されるようになります。
ではまだ経験を積んでいない新人や新入社員はどうしたらよいのでしょうか。AIはインターネット上にある過去のデータをもとに動作しています。そのため、泥臭い顧客ヒアリングから得られる現場の1次情報や、多様な分野の人脈ネットワークを通じて得られる生の声や情報は保持していません。
AIを駆使しつつオリジナルな要素を加え、自分独自の視点を持つことができれば、ギュられることはありません。また、AIにはハルシネーション(嘘をつく)がつきものです。AIが出した答えが正しいか、裏付けや出典を必ず確認するようにしましょう。あわせて、AIが作成した成果物のチェックも不可欠です。ビジネス文書などはAIで簡単に作成できますが、「なぜ文書番号が必要なのか」といった本質的な背景や意味まで理解して活用することが大切です。
また常に「仕事の意味」を考えるように行動しましょう。会議内容の録音データからAIで議事録を作成できますが、議事録がどう使われているのか、録音データさえあれば、そもそも作成作業はいらないのではと考えるクセをつけましょう。時系列に録音データをAIに読み込ませ、誰が途中から意見を変えたか分析することもできます。
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