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システムが誤動作するかもしれない2025年問題とは

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2021年08月18日(最終更新:2023年09月13日)

合同会社エムアイティエス代表 水谷哲也

西暦2000年を迎える深夜、世界中で新ミレニアムをお祝いしようとカウントダウンが行われるなか、多くの会社ではエンジニアがシステムが誤動作を起こさないか万一に備え泊まり込みで対応したことがありました。これが2000年問題でした。次は2025年や2038年問題がまっています。

2000年問題を覚えていますか

西暦2000年、つまり21世紀になる時にコンピュータが誤作動を起こすのではないかと言われ対策におわれた問題です。多くのコンピュータがシステム内部で年を西暦4桁でなく下2桁だけで扱っていたことが原因です。2000年になった時「00年」となり、コンピュータが「1900年」とみなして誤動作が起きると考えられました。

ハードディスクが高かった

最初から年を西暦4桁にしておけば2000年問題はありませんでしたが、当時はハードディスクが高く、いかに記憶容量を減らすかが勝負でした。例えば売上履歴で日付を扱うと何百万というデータとなりますので西暦の上2桁「19」を省力するだけでも、かなりの容量を削減できます。

1980年頃、まだパソコンではなくマイコンと呼ばれていた時代、プログラム保存はカセットテープが当たり前でフロッピーは高根の花でした。1990年頃でも40メガバイトのハードディスクが15万円。200メガバイトなら40万円で売られていた時代です。今なら10万倍の容量がある1テラバイトのハードディスクが5千円で売られています。当時はハードディスクがめちゃくちゃ貴重で高価な時代でした。

2000年を無事に乗り切る

1999年の大晦日から2000年正月にかけて全国で身構えました。深夜運転するJRや私鉄各社は、大晦日に全ての列車を最寄り駅に臨時停車して運転を見合わせ、航空機はシステムの不測の事態に備えて欠航したり、年が明けてからの出発に変更したりして対応しました。

また多くの企業では万が一に備え、エンジニアが出社。紅白歌合戦が終わり、ゆく年くる年を見ながら、その時に備えました。2000年になる、一部のシステムに不具合は出たものの、致命的な問題は生じませんでした。無事に新年を迎えたエンジニアのなかにはお屠蘇気分で酒盛りをはじめたところもありました。事前に年の桁数を増やすなど膨大なプログラム変更したのが功を奏しました。

2000年問題の次はITの2025年問題

団塊の世代が75歳以上(後期高齢者)になり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上と言う超高齢化社会が2025年に到来します。いろいろな社会問題が起きると予想されています。これが2025年問題ですが、実はコンピュータにもあります。2025年は昭和100年にあたり、昭和を使っているパソコンのプログラムでは昭和100年にあたる2025年を昭和0年と誤認識するのではと言われています。(昭和100年問題)

公文書などで元号が使われていますが、印刷や表示するプログラムだけを修正して昭和64年以降を平成に、昭和94年以降を令和とすれば、大元のプログラムを修正しなくてすみます。抜本的対策をせず、こういった対応をしているシステムでは不具合が発生する可能性があります。

また経済産業省では「2025年の崖」という問題提議をしています。複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムを残したままだと国際競争に生き残れず、経済の停滞となってしまう問題です。2025年を境にレガシーシステムを構築したエンジニアがいよいよ第一線からいなくなるためシステム変革最後のチャンスという意味です。

2038年問題もある

サーバーでよく使われているUNIXというOSには2038年問題があります。UNIXはC言語で作られていますがC言語の時刻管理が1970年1月1日からスタートしています。ベル研究所でUNIXの開発に取り組んだエンジニアのデニス・リッチーが、1970年が都合がよいと決めたからです。この日付を管理している整数の大きさが32ビットになっていて2038年1月19日に32ビットの上限を超えてしまい誤動作が起きるのではと心配されています。これが2038年問題です。

新しいワークステーションやサーバーは32ビットの倍である64ビットになっていますので心配はいりませんが、古いシステムを使っていると影響がありそうです。ただし2000年問題のようにエンジニアは何かあった時に対応するよりは、むしろ何も起こらないようにするのが仕事ですので2038年までに対応がすすみそうです。しかし、備えあれば憂いなし、とりあえず、気持ちの準備だけはしておきましょう。

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