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column
2025年10月08日
水谷IT支援事務所代表 水谷哲也
テレビでNHKニュースにチャンネルをあわせると、「AI自動音声でお伝えしています」というテロップが当たり前になりつつあります。カンニングを助長すると反対がありグーグルの「宿題お助けボタン」が停止になったなどAIの話題を日々聞きますが、そもそも知能とは何でしょうか?心とはいったい何でしょうか。
Chat-GPTの「T」はトランスフォーマーをさし、2017年にグーグルが発表した論文がもとになっています。ごく簡単に言えば、文章内の各単語が他の単語とどれだけ関連しているかを計算したものです。例えば「今日の天気は」と入力すると、「晴」が続くのが60%、「曇り」が20%といった具合に、次にくる言葉を予測しています。
当初、GPTに質問してもたどたどしい答えでうまくいきませんでしたが、学習データのサイズをいきなり大きくしたところ、開発者も驚くほどスムーズに会話ができるようになりました。しかし、いまだになぜできるようになったのか、その理由はよく分かっていません。
私たちの会話も、相手が何をしゃべりそうか予測しながら行っていることが分かってきました。実は、この予測することは生き抜くための必須能力であったようです。私たちは生き残るために、これまで経験してきた記憶を頼りに仮想世界をシミュレーション、つまり予測を行っています。ただし、予測通りにいかないこともあるため、現実世界と照らし合わせて修正します。
寝ている間もこの予測は続いていますが、夢のなかでは現実世界からのフィードバックがなく、修正が行われません。夢の中でおかしなことが起きてもそのまま進んでいきますが、夢を見ている最中、当人は辻褄が合っていると思っています。
記憶についてもいろいろと分かってきました。記憶そのものを蓄えるのではなく、思い出すための仕掛けを蓄え、ヒントから復元すべき情報を作りだしているようです。ですので、時には間違え、思い違いや思い出せなくなります。
私たちの祖先が生き残るため、予測能力を高め武器としてきました。脳のなかでは超並列のコンピュータが動いており、現在の状況をもとにまず予測し、方策を素早く生み出します。この時に意識に上らせて自分の回答を吟味します。つまり、意識とは生き抜く必要上から発生したようで、突き詰めて言うと、意識があることで自分が何をしようとしているかを自分で知ることができます。デカルトが「我思う、ゆえに我あり」という命題を提唱しましたが、これこそがまさに意識です。とっても不思議ですが左脳、右脳それぞれに意識があることも分かってきました。
「心臓をわしづかみにされる」「肝を冷やす」「胸が高まる」など、内臓と感情には関係がありますが、脳は体の中のことが直接は分かりませんので、内臓から送られてくる感覚信号をもとに内臓の状態を予測しています。同じように、私たちは感覚を通じて世界を予測するだけで、直接知ることはできません。ですので、認識している世界は現実世界ではなく予測された世界なのです。予測で生じる誤差は素早く正しいものに修正され、修正されたものだけが知覚されています。
生成AIも、ネットワークの予想と実際の結果との差(エラー)を計算し、できるだけ差を小さくする仕組みが備わっています。これは、ネットワークが自分のエラーを少しずつ修正し賢くなるための仕組みで、これを繰り返すことで、どんどん正確な予測ができるようになります。これをさらに推し進めていくと、必要性から意識が発生するかもしれません。
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