0120-70-4515
電話受付:平日 10:00〜17:00
(土・日・祝日休)
column
2024年08月21日
社会保険労務士法人味園事務所 代表社員所長 味園 公一
昨今、柔軟な働き方の実現を目的とした育児介護休業法の改正が注目されており、育児休業の取得者増加に伴い育児休業給付金受給者の増加が予想されます。このような背景の中、令和7年4月から育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが見直されます。今回は、育児休業の延長に関する概要やその見直し内容について紹介します。
育児休業は、原則として子どもが1歳になるまで取得できますが、子どもが1歳になるときに保育所等に預けられない等の事情があるときは1歳6か月まで延長することができます。さらに子どもが1歳6か月になるときに保育所等に預けられない等の事情があるときは最長で2歳まで再延長することができます。
この延長・再延長時には、雇用保険の育児休業給付金についても支給が延長されることになります。育児休業給付金の延長手続きについては、市区町村の発行する「入所保留通知書」等の確認書類を添付することが必要とされています。
内閣府地方分権改革有識者会議における「令和5年の地方分権改革に関する提案募集」において、自治体から次のような事象について見直し要望がありました。
これを受け、「育児休業給付の期間延長については、保育所等の利用調整における市町村の事務負担を軽減するとともに、制度の適切な運用を図るため、ハローワーク(公共職業安定所)において延長可否を判断することを明確化する方向で検討する。」ということが閣議決定されました。
以上の要望から、あえて倍率の高い保育所への申し出をしたり、1箇所しか申し込まなかったりといった、延長目的での申し出が散見されたと考えられます。そのような申し出への対応に関する自治体の事務負担を軽減するために、延長手続きの見直しが行われます。
今回の見直しにより、令和7年4月以降は、延長・再延長時の育児休業給付金手続きにおける確認が厳格化されます。その内容は、市区町村の発行する「入所保留通知書」等の確認に加え、保育所等の利用申し込みが、「速やかな職場復帰のために行われたものであると認められること」が必要になるというものです。具体的には、次の書類を添付しなければなりません。
【必要な書類】
※所定の様式により書類を作成します。厚生労働省HPよりダウンロード可能。
https://www.mhlw.go.jp/content/001269654.pdf
※これまで(3)のみであった添付書類に(1)、(2)が加わります。
■添付書類に関する注意点
まず、(1)の申告書に記入する「入所申し込みをした日」や「入所開始希望日」は、次の要件を満たしている必要があります。
※1歳6か月に達する日後の延長の場合は、「1歳に達する日」を「1歳6か月に達する日」に読み替えます。
次に、(3)の市区町村が発行する通知は、子が1歳に達する日の翌日時点で保育が実施されないことを確認するため、以下のいずれか1通を提出します。
※1歳6か月に達する日後の延長の場合は、「1歳に達する日」を「1歳6か月に達する日」に読み替えます。
なお、理由なく入所内定辞退している場合には、延長の対象とはなりません。その他、市区町村の申込期限に間に合わなかった、市区町村に入所可能か問い合わせただけ等、要件を満たす入所申し込みができなかった場合は、延長の対象とはなりません。
従業員が育児休業を取得するときであって、育児休業の延長・再延長となる場合は、不備なく書類を揃えるように会社からの事前の周知が欠かせません。育児休業取得中の方々にとっては書類の保管忘れ(特に(2)の申込書の写し)等がないよう、丁寧な説明や研修が必要になることでしょう。
厚生労働省「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00040.html
関連コラム
社労士コラム改正育児・介護休業法への対応について