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育児休業給付金の支給対象期間延長手続きの見直し

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2024年08月21日

社会保険労務士法人味園事務所 代表社員所長  味園 公一

昨今、柔軟な働き方の実現を目的とした育児介護休業法の改正が注目されており、育児休業の取得者増加に伴い育児休業給付金受給者の増加が予想されます。このような背景の中、令和7年4月から育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが見直されます。今回は、育児休業の延長に関する概要やその見直し内容について紹介します。

育児休業の延長制度とは

育児休業は、原則として子どもが1歳になるまで取得できますが、子どもが1歳になるときに保育所等に預けられない等の事情があるときは1歳6か月まで延長することができます。さらに子どもが1歳6か月になるときに保育所等に預けられない等の事情があるときは最長で2歳まで再延長することができます。

この延長・再延長時には、雇用保険の育児休業給付金についても支給が延長されることになります。育児休業給付金の延長手続きについては、市区町村の発行する「入所保留通知書」等の確認書類を添付することが必要とされています。

見直しの背景

内閣府地方分権改革有識者会議における「令和5年の地方分権改革に関する提案募集」において、自治体から次のような事象について見直し要望がありました。

  • 保育所等への入所意思がなく、給付延長のために申し込みを行う者への対応に時間が割かれる。
  • 意に反して保育所等への入所が内定となった方の苦情対応に時間を要している。

これを受け、「育児休業給付の期間延長については、保育所等の利用調整における市町村の事務負担を軽減するとともに、制度の適切な運用を図るため、ハローワーク(公共職業安定所)において延長可否を判断することを明確化する方向で検討する。」ということが閣議決定されました。

以上の要望から、あえて倍率の高い保育所への申し出をしたり、1箇所しか申し込まなかったりといった、延長目的での申し出が散見されたと考えられます。そのような申し出への対応に関する自治体の事務負担を軽減するために、延長手続きの見直しが行われます。

見直しの内容

今回の見直しにより、令和7年4月以降は、延長・再延長時の育児休業給付金手続きにおける確認が厳格化されます。その内容は、市区町村の発行する「入所保留通知書」等の確認に加え、保育所等の利用申し込みが、「速やかな職場復帰のために行われたものであると認められること」が必要になるというものです。具体的には、次の書類を添付しなければなりません。

【必要な書類】

  • 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
  •  ※所定の様式により書類を作成します。厚生労働省HPよりダウンロード可能。

     https://www.mhlw.go.jp/content/001269654.pdf

  • 市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
  • 市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書等)

※これまで(3)のみであった添付書類に(1)、(2)が加わります。

■添付書類に関する注意点

まず、(1)の申告書に記入する「入所申し込みをした日」や「入所開始希望日」は、次の要件を満たしている必要があります。

  • 入所申し込みは、子が1歳に達する日までに行っていること。
  • 入所開始希望日を、子が1歳に達する日の翌日以前の日付として入所申し込みを行っていること。

※1歳6か月に達する日後の延長の場合は、「1歳に達する日」を「1歳6か月に達する日」に読み替えます。

次に、(3)の市区町村が発行する通知は、子が1歳に達する日の翌日時点で保育が実施されないことを確認するため、以下のいずれか1通を提出します。

  • 発行年月日が、子が1歳に達する日の翌日の2か月前(4月入所申し込みの場合は3か月前)の日以後の日付となっている入所保留通知書等
  • 発行年月日が、上記期限より前の日付の入所保留通知書等しかなく、入所保留中は市区町村から新たな通知が発行されない場合は、育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書の理由欄にその旨を記載の上、直近の入所保留通知書等

※1歳6か月に達する日後の延長の場合は、「1歳に達する日」を「1歳6か月に達する日」に読み替えます。

なお、理由なく入所内定辞退している場合には、延長の対象とはなりません。その他、市区町村の申込期限に間に合わなかった、市区町村に入所可能か問い合わせただけ等、要件を満たす入所申し込みができなかった場合は、延長の対象とはなりません。

おわりに

従業員が育児休業を取得するときであって、育児休業の延長・再延長となる場合は、不備なく書類を揃えるように会社からの事前の周知が欠かせません。育児休業取得中の方々にとっては書類の保管忘れ(特に(2)の申込書の写し)等がないよう、丁寧な説明や研修が必要になることでしょう。

厚生労働省「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00040.html

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