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2024年07月10日
水谷IT支援事務所代表 水谷哲也
住みやすい街ランキング常連で人口11万人の千葉県印西市。東京都心から約40キロメートルで、日本橋駅から40分ほどで着きます。マスコットキャラクターは「いんザイ君」という印鑑をもった「こどものサイ」です。この印西市ですがデータセンター銀座とも呼ばれ、「INZAI」という地名が世界のIT業界で有名です。
インターネットで重要なのがデータセンターです。データセンターとはサーバや通信などの装置を設置・運用することに特化した建物です。ほとんど窓はなく耐震構造になっており、火災が起きても機器に影響が少ない二酸化炭素やフロンガスによる消火設備を設置しています。また大容量の蓄電池や自家発電装置等を備えています。1990年以降、インターネットの普及とともに拡がり、データセンターという名前が使われるようになりました。
ホームページを多くの企業が公開していますが大概はレンタルサーバーを借りてホームページをおいています。このレンタルサーバーはデータセンターの中にあり共有利用になるので安く借りることができます。ハウジングという方法もあり自社保有のサーバをデータセンターに設置し、運用・管理は自社で行いますが、サーバに接続する回線や電力などはデータセンターが提供します。自社で耐震対策や自家発電装置を揃えるのは大変ですのでハウジングが利用されています。ただしトラブルがあれば駆けつけないといけないので近くにデータセンターがあるかどうかも重要になります。
時価総額でマイクロソフトやアップルを抜き世界最大の企業になったのがエヌビディアです。半導体のファブレス企業(企画・設計をし製造は委託)で、GPUを作っています。コンピュータを動かすにはCPUが必要でインテルのペンティアムなどが有名ですが、GPUはゲームや画像処理するための半導体です。Gはグラフィックの意味で、グラフィックを描画するには高速計算し、並列処理をしなければなりません。これに優れているのがGPUです。ゲームを楽しむためにグラフィックボードを家電量販店に買いにいくと、このボードにGPUがのっていました。
AIブームが起きましたが、ディープラーニング(深層学習)などではグラフィック処理同様、膨大な計算や並列処理が必要です。AIでGPUが活用されるようになりました。生成AIブームも起き、AIがますます進展していくことでGPUを作っているエヌビディアの株価が急騰することになります。データセンターでは生成AIなどに対応できるようGPUサーバを用意し、GPUデータセンターも登場しています。
グーグルは世界中にデータセンターを設置していますが、創業時は創業者自らサーバの配線修理に奮闘していました。カリフォルニア州サンタクララにあったデータセンターに約30台のパソコンを置けるほどの小さな区画を間借りしていました。すぐ隣ではネットオークションサイト・イーベイ(eBay)の区画がありました。少しでも価格を下げるために交渉し、ハードウエアの応急処置を自前で行うことでコストを削減していました。
今やグーグルのデータセンターは世界中にあり、アジアには台湾、シンガポール、日本の3ケ所にあります。日本は千葉県印西市にあり2023年3月に稼働しました。印西市は東京都心から近く、JRや京成電鉄で成田空港にすぐ行けます。また地盤が硬く、東京電力が変電所から大量送電できる巨大トンネルを完成させ電力供給の問題もありません。立地がよいためかNECやNTTグループなど公表されているだけでも11社がデータセンターを置いておりデータセンター銀座とも呼ばれています。成田空港から近いこともあり、海外のIT企業も注目しており、INZAIという地名が世界のIT業界に拡がっています。
アマゾンのAWSは東京と大阪にありましたが、2023年5月から印西市にもできました。ただデータセンターは少ない人数で運用するため、地域の雇用にはそれほど寄与しませんが、固定資産税などは増収になります。
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