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column
2024年08月14日
水谷IT支援事務所代表 水谷哲也
パソコンでデータ保存する時、フロッピー保存が当たり前の時代がありましたが、フロッピーそのものを見る機会がなくなりました。ついに行政手続きからもフロッピーがなくなりました。
フロッピーが登場したのは1967年で、IBMが汎用機用として開発しました。柔らかい磁気ディスクだったので柔軟(フロッピー)と命名されます。8インチのフロッピーはウチワほどのサイズがあり、簡単に曲げられ、夏は実際にウチワ代わりにあおいで使っていました。やがて5.24インチ、3.5インチと小型化され、3.5インチからはプラスチックケースにおさまるようになります。3.5インチで1.44メガバイト保存できました。
1984年、マッキントッシュが登場し、フロッピードライブが内蔵されます。日本では富士通がFM-77を出し、フロッピードライブが内蔵されるようになります。タモリが「今や、3.5インチフロッピーディスクが主流」とCMで強みを訴えていました。この頃からパソコンにフロッピードライブが2台搭載されるようになります。
プログラムやゲームなどはフロッピーで提供されていました。プログラムをインストールする場合、説明書を読んで20枚ほどのフロッピーを順番に並べます。「ディスク15を挿入してください」といった画面の指示に従ってフロッピーを次々と入替し、軽く30分ぐらいインストールにかかっていました。OSもフロッピーで提供されていたので、OSのインストールはさらにフロッピーが増え大変でした。あのガチャガチャというやかましい機械音を聞くこともなくなりました。
任天堂からファミコンが発売されますが、1986年に「ディスクシステム」が登場します。フロッピーの簡易版であったクイックディスクが使われました。ファミコンでゲームを楽しむにはカートリッジが必要でしたが、ディスクシステムで安価にゲームを楽しむことができました。やがてディスクライターという大型のゲーム販売機がお店に設置されます。ユーザーが手持ちのディスクカードを持っていくと中身を新しいゲームに500円で入れ替えれました。
スティーブ・ジョブズが倒産しそうだったアップルに復帰し、出したのがiMac。モニターだけのような一体型で、中が見えるスケルトンモデルでした。とてもスタイリッシュなデザインでしたが、さらに驚いたのがフロッピーを差し込む口がiMacから無くなったこと。「フロッピーが使えないじゃないか!」という声があがりますが、これがエポックメーキングとなりパソコンからフロッピーが消えていきます。iMacはフロッピーの代わりにUSBを全面採用します。USBを採用した周辺機器が次々に発売されUSBの普及が一気にすすみました。
パソコンにはドライブ番号があり、ウィンドウズでは2台のフロッピードライブにはAドライブ、Bドライブが割りてられ、ハードディスクに割り当てられたがCドライブです。パソコンからフロッピードライブがなくなるとAとBは欠番になりました。
デジタル庁ではアナログ規制をなくす取組をしており、2024年6月、ようやくフロッピーが必要な規制が全廃されました。最後まで残ったのは自動車リサイクル関係に関する規制で事業者に対してフロッピーを含む帳簿での記録・保存を求めるものでした。
国立科学博物館は2022年に未来技術遺産(重要科学技術史資料)として、3.5インチフロッピーディスクを登録しています。すっかり見かけることがなくなり遺産になってしまいました。
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