0120-70-4515
電話受付:平日 10:00〜17:00
(土・日・祝日休)
column
2024年03月13日
合同会社エムアイティエス代表 水谷哲也
AIの発展で画像や文章が本物かどうか見破ることが難しい時代となりました。またSNSで簡単に情報発信できるようにもなりましたが、発言やシェアする前に一度立ち止まりガセネタでないかどうかチェックしましょう。
「部長が地方へ飛ばされたのは取締役と喧嘩したから」といった噂が社内で流れたりしませんか。こういった噂話は昔からありましたが、人伝えでしたので広まるのに時間がかかりました。ところがネット社会となりSNSで見た記事をワンクリックでシェアすることで簡単に拡散できるようになりました。
2016年の熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」という記事が拡散され、結局、投稿者は逮捕されました。災害が発生すると「AB型Rhマイナスの血液型の方を知りませんか?輸血に必要です」といった情報がすぐに拡散します。「大変だ~あ、シェアしてあげないと」いう気持ちは分かりますが、いつまでに、どこの病院で何人分が必要なのかといった肝心の情報が書かれていません。少し立ち止まってガセネタでないか考えてみましょう。
「10桁で終了 円周率ついに割り切れる」など実際にありそうな虚構ネタを発信している虚構新聞というサイトがあります。なかには「種なし柿の種(ピーナッツだけの柿の種)」発売」など虚構新聞の記事が現実化したものがあり、誤報として謝罪記事をあげています。虚構新聞は最初から虚構だと宣言しているので問題ないのですが、まぎらわしいのがバズサイトです。
”バズる”とはツイッターやフェイスブックなどで取り上げられて、注目され拡散されていく状態をいいます。広告収入を得るためになるべくアクセスを集めようと、バズる記事をたくさん集めたのがバズサイト。扇情的なタイトルになりがちです。なかにはコンテンツそのものの信頼性が問題となり、医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」(DeNAが運営)が閉鎖されました。
情報には1次情報、2次情報、3次情報があります。1次情報とはオリジナルの情報で本人が体験から得た情報で例えば、お店に行ってランチの写真をインスタにあげるような場合です。もちろん、お店に投稿許可をとることや、お客さんやスタッフを映さないのは鉄則です。
2次情報は他の人から聞いたり、誰かが書いたものを読んだりすることで得られた情報です。3次情報は、情報の発信源が分からない情報のことで、SNSですぐ拡散して問題になるのは3次情報がほとんどです。
サイトは誰でも立上げられますが、本を出すとなると編集や校閲などいろいろなチェックが入ります。もちろん万全ではないので誤りが後から見つかることがありますが、版を変える時に訂正します。2次情報を参照するなら本が一番ですが、最近は誰もチェックせずに電子書籍を出せる時代になりましたので、この場合は要注意です。
アメリカの新聞ではファクトチェッカーと呼ばれる仕事があり、社内の人間がウラ取りを行っていますが日本の新聞で行われることはまずありません。新聞やテレビなどのメディアは必ず信頼できるものではありません。
ただ本だから安心というわけではなく、江戸時代後期に椿井政隆によって作成、販売された神社仏閣の縁起書、由緒書などを椿井文書と呼んでいます。これが日本最大級の偽文書でした。近畿一円に流布し、例えば興福寺官務牒疏という文章が興福寺の勢力が中世、大きかったことを示す論文などに掲載されています。椿井文書で広まった内容が地域起こしと連動してしまい、今も市史などの形で残ってしまいました。
昔、信用金庫が倒産するという噂が流れ取り付け騒ぎとなり、短期間に約20億円もの預貯金が引き出された事件が発生しましたが、発端は電車内での女子高生の雑談でした。
どこでガセネタをつかまされ、自分自身に降りかかるかもしれません。情報を批判的に見ながらガセネタを見抜く力を養っていきましょう。
関連コラム
ITコラムウェブ3.0とは