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column
2023年12月13日
合同会社エムアイティエス代表 水谷哲也
世の中、いつ何が起きるか分かりません。特に働き盛り世代が問題で、エンディングノートを用意している人はほとんどいません。通帳など現物があると、家探しして銀行に問い合わせできましたが、今や紙の通帳からウェブ通帳に置き換わっています。取引している銀行名を事前に聞いておかないと対応できません。通常のエンディングノートだけでなく、デジタル資産のエンディングノートが必要です。
家庭にパソコンが普及しだしたのがウィンドウズ95登場の90年代後半からで、当時、若者だった世代も50代、60代となりました。またスマホが登場してから15年以上がたち、日々、パソコンやスマホ内にあるデジタル資産が増えています。
まずパソコンやスマホを起動する時のパスワードが必要です。指紋認証など生体認証を使っている場合は紙に丁寧に書くしかありません。次に利用している銀行や証券会社などの名前、ID、パスワードの一覧を用意しましょう。次に動画、音楽、書籍、ソフトなど使っている有料サービスを洗い出し、アカウントやパスワードを整理します。
事業を行っている場合はどの会計ソフトを使っているのか、ほかに仕事で使っているツールなども記載が必要です。ホームページを作っているのならドメインやレンタルサーバーをどう管理しているのか、ネットショッピング、ネットオークションなどのアカウント、スマホ決済で使用している〇〇Payの情報も必要です。ただしパスワードなどは安全な場所に保管し、遺族がアクセスできるように情報を伝えておきます。また物理的な保存媒体(USB、外部ハードディスクなど)も併せて整理しておきましょう。
使っているSNSの記載が必要です。パスワードがないとSNSの運営会社に連絡して、アカウントを削除してもらわなければなりません。近親者であることを示す書類・死亡診断書などが必要になります。パスワードが分かっていれば亡くなったことをSNSで連絡し、一定時間が経過したら削除することができます。
またSNSの場合、ほったらかしにしておくとアカウントの乗っ取りが行われる場合があります。例えば、MIXIのアカウントのほったらかしが多く、よく乗っ取られています。これを機会にデジタル資産の棚卸をしましょう。
「年賀状じまい」をする人が年々、増えています。年賀状や住所録から訃報連絡できましたが、なければ何ともしようがありません。同窓生のキーマンなど、亡くなった時に連絡する相手の一覧を作っておきましょう。
SNSの個人アカウントだけでなく趣味の会などグループアカウントの記載も必要です。故人がグループに参加しているだけなら大丈夫ですが、故人が管理人になっている場合は誰かに引継ぎしてもらわなければなりません。アカウント、パスワード以外に管理人引継ぎをお願いする人も明記しておきましょう。グループのホームページやメーリングリストなどを管理している場合も同様です。
人間、誰しも人に知られたくない秘密があります。何かあった時のために「終活・遺言ソフト」を用意しておきましょう。デスクトップに「もし死んだらダブルクリックして」という名前のアイコンを用意しておきます。アイコンをダブルクリックして起動すると「ひとかたならぬご厚誼にあずかりありがとうございます。一人ひとりに感謝を伝えたいと思います。...」といった遺言が流れている最中に黒歴史のファイルやフォルダーを削除していきます。もちろん消すフォルダーの指定などを事前にしておかなければなりません。
デジタル終活は、一度、行えばいいというものではありません。パスワードの変更や新しく登録したサービスの追加、解約したサービスの削除など、こまめに情報更新しなければなりません。
遺品整理会社の社長によると一人暮らしでも70代を超えてくると、さすがに周りが気をつけますが40代、50代はノーマークで孤独死の発見が遅れるそうです。迷惑をかけるのは仕方ありませんが、少しでも手間が減らせられるように用意しておきましょう。
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