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冗談で作られた仮想通貨

column

2022年08月10日

合同会社エムアイティエス代表 水谷哲也

ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)があります。電子データのみでやり取りされ、円やドルのように国が主体となってコントロールしていません。国や特定の機関が発行せずに不特定多数の個人がマイニング(採掘:新たなブロックを生成し、その報酬として仮想通貨を手に入れる)することによって発行されます。国が管理していないので、国境を超えた送金を格安かつ迅速にできるなどのメリットがあります。ビットコイン以降たくさんの仮想通貨(暗号資産)が作られ今では1000種類以上ありますが、仮想通貨のなかには冗談で作られたものもあります。

インターネット・ミームとは

インターネットを通じて模倣しながら拡がっていく行動やメディアをインターネット・ミームと呼んでいます。例えばピコ太郎の「PPAP」もインターネット・ミームの一つで、世界中で「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」とピコ太郎を真似する動画があふれました。

2013年、英語圏で流行ったのがドージ(doge)です。ドージは柴犬の写真に”Wow”などの砕けた英語で構成されたインターネット・ミームで、多くの柴犬画像がSNSにあふれました。ドージの起源はブログに掲載された「かぼす」という柴犬です。2014年にはブログが書籍化されて「かぼすちゃんとおさんぽ。」(ワニブックス)から出ています。

ドージをもとにした仮想通貨

このドージをモチーフに作ったのがドージコインで、柴犬の「かぼす」がロゴになっています。もともとはビリーとジャクソンという2人のエンジニアが楽しくワクワク使える仮想通貨として冗談で作ったコインです。

ビリーのお母さんが日本人ということもありビリーはニンテンドーにはまっていました。ビットコインが話題になった頃、「どうぶつの森」をモチーフにした仮想通貨を作ってみましたが、あまり使ってもらえませんでした。ジャクソンが柴犬ミームの仮想通貨のアイデアをアップしているのを見て連絡をとり、作っていた仮想通貨のコードを書き換えてドージコインを作ります。

ドージコインのコミュニティができ「Do Only Good Everday(DOGE 毎日善いことをしよう)」が合言葉になります。ドージコインがスタートした頃は1ドルが数千ドージで気軽に使える金額でした。ネット上で発表されたアート作品やミームに感謝の気持ちを送るためにドージコインが使われました。

ところがイーロン・マスクがドージコインをお気に入りとツイートしたことから認知度が拡がり、人気の仮想通貨となります。ジャマイカのボブスレーチームがソチ五輪に参加するための募金活動に使われるなど、冗談ではなく本当の仮想通貨になってしまいます。2人のエンジニアは手をひいて、今はドージコイン財団が運営しています。

発行上限がない仮想通貨

ビットコインなど通常の仮想通貨では、通貨量が増えてインフレにならないように発行上限を定めています。ところがドージコインには発行上限がありません。マイニング(採掘)で自動的に新規のコインが発行されていくので、無限にコインが増えます。決済にかかるスピードが速い点も特徴です。ビットコインは10分ほどかかりますがドージコインは1分ほどで終わります。

柴犬コイン(SHIB)が登場

ドージコインを模倣して生まれたのが柴犬をモチーフにした柴犬コインです。ミームをもとにしたミーム・コインの一種です。他にも秋田犬コイン(AKITA)、紀州犬コイン(KISHU) 、FLOKI(イーロン・マスクの柴犬) など、日本の犬種をマスコットにしているミーム・コインがたくさんあります。他にもポメラニアンやスピッツなどの先祖にあたるロシアのシベリアを原産地とする犬の品種サモエドをモチーフにしたサモエドコイン(SAMO)などがあります。

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