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プログラミング・ネイティブ世代が社会へ

column

2021年10月20日

合同会社エムアイティエス代表 水谷哲也

全国の学校では学習指導要領に基づきカリキュラムが編成され授業が行われています。この学習指導要領ですが、時代の変化や社会ニーズなど子供を取り巻く状況が刻々と変わるため約10年ごとに見直しが行われています。現在、新しい学習指導要領がスタートし、小学校では2020年度、中学校では2021年度から全面実施しています。高校は2022年度の入学生から年次進行で実施されます。マスコミがよく小学校でプログラミングを教えるようになったと取り上げているのが、この新しい学習指導要領です。

小学校でプログラミング教育が始まる

プログラミングといってもプログラム言語を教えるような授業ではなく、コンピュータに意図した処理を行わせるための論理的な思考力「プログラミング的思考」を身につけるための教育です。またプログラミングだけでなく「情報活用の実践力」ということでインターネットでの情報検索など基本的な操作や情報の収集・整理・発信についても学びます。また「情報社会に参画する態度」では情報モラルについても学びます。他に「情報の科学的な理解」でコンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みの理解があり、ここでプログラミング思考について学びます。

多角形について考えてみよう

では、どうプログラミング思考を学ぶのでしょうか。例えば、正三角形をコンピュータで書く手順を考えてみましょう。「線を引く→60度左に方向転換→線を引く→60度左に方向転換→線を引く→60度左に方向転換」でできます。同じ作業が3回出てきますので

3回繰り返す
・線を引く
・60度 左に方向転換

と一つにまとめることができます。次は正四角形について考えてみましょう。

4回繰り返す
・線を引く
・90度 左に方向転換

では正六角形ではどうでしょうか。と考えさせていきます。これは5年生の算数で出てくる「正多角形の作図」です。スクラッチ(Scratch)と呼ばれる無料で使えるプログラミング言語学習環境があり、「線を引く」などのブロックを組み合わせて、きちんと動くか確かめることができます。

センサーのプログラム学習もある

6年生の理科には「電気の性質や働きを利用した道具」があり、人感センサーや明るさセンサーによって電気を制御するプログラミングを行います。例えば人感センサーを使い人がいれば電気をつけ、人がいなければ電気を消します。よくトイレに入ると電気がつきますが、あの仕組みです。身の回りでどんなセンサーが使われ、どう動いているかを学んでいきます。

高校になるとプログラミングのほかにも、ネットワークや情報セキュリティ、データベースの基礎などについて学習します。簡単なゲームプログラムを使ったり、ジャバ・スクリプトを使ってウェブサイトを動的に動かしたりするような授業になります。

教える先生が大変

問題は教える先生です。今までエクセルやワードができれば、事足りていましたが、プログラミング思考を教えるとなると話は別です。コロナ禍によるオンライン講義で、文部科学省が考えていたGIGAスクール構想(ICTによる教育)の大幅前倒しになりました。タブレットなどは生徒に配布されましたがハードがあってもソフトと教える先生の力量が求められます。以前、ダンスを教える必要が出てきた時にダンス教室に通う先生が話題になりましたが、今は街のパソコン教室に通う先生が増えてきました。

プログラミング・ネイティブ世代が社会へ

コロナ禍で否応なくオンライン授業を経験した大学生、つまりZOOM世代が社会に出てきており、この流れがしばらく続きます。今度は出張や会議などに対する価値観が大きく変わっていきます。そうこうするうちにプログラミング思考を身につけた世代が会社に入ってくるようになります。エクセル、ワードができたら会社でなんとかなってきましたが、そうは言っておられない変革を起こす世代が入社してくるようになります。

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