データの受け渡しに使う媒体といえばUSBメモリーが定番でしたが、今ではネット経由で送ることが日常茶飯事になりました。物理的な媒体を使う機会が少なくなった現代ですがUSBメモリーどころか、いまだにフロッピーが健在なことが話題になっています。
コストがかかるフロッピー
地銀がフロッピーディスクの取り扱いをやめる目的はサービスを見直して事務コストを削減することにあります。地銀には市町村や中小企業からフロッピーの持ち込みがあり、口座振替や給料振り込みで使われています。フロッピーを使う理由は秘密保持しないといけないなど様々ですがフロッピーを扱うには、どうしても人の手が必要となるのでコストがかかります。銀行としては、これ以上のコスト負担は難しくなっています。
そこで地銀ではフロッピーを使っている取引先に事情を説明し、ネットバンキングなどへの移行をうながしています。労働基準監督署でも就業規則などの届け出をフロッピーで受付していましたが、2013年に終了しています。
2011年にフロッピーの製造が終了
10年ほど前までフロッピーはまだ作られていました。2009年に日立マクセルと三菱化学メディアがフロッピー製造から撤退。ソニーだけは撤退せず中国メーカーに委託して作り続けていましたが2011年についに製造中止となり40年ほどコンピュータの世界で使われ続けたフロッピーも、これで幕を閉じました。フロッピー読取装置があっても、製造中止になっているので読取装置が壊れたら修理できない状況です。
過去の遺産が問題
フロッピーの需要はまだまだあり、それが過去の遺産です。官公庁や法人では過去のデータがフロッピーに保存されていることが多く、ハードディスクなどに移したくてもデータが読めなければ意味がありません。古くから使われてきた織物の刺繍機や医療機器などでは、フロッピーを必要とする機器がまだまだ残っています。
アメリカ政府では核兵器の運用部門で2016年時点でもフロッピーがまだ使われていました。財務省でも一部に1950年代のプログラムが使われておりフロッピーがいまだに現役です。フロッピーを置き換えるにはプログラムそのものを作り直さなければならず、頭が痛い問題になっています。
データのコンバートサービスがある
フロッピーのニーズが高いのでメディアコンバートというサービスがあります。これはフロッピーに入っているデータをUSBメモリーなどに移し替えるサービスで、変換アダプターも売られています。問題となるのはフォーマット(形式)で、ウィンドウズで使うフロッピー形式とマックやユニックスで使うフロッピー形式はそれぞれ違います。
文豪や書院といったワープロ専用機でも保存にフロッピーを使っていましたが、これも形式がメーカーによって違います。メディアコンバートサービスに依頼する場合は自分が持っているフロッピーの形式をサポートしているかどうか、まず確認が必要です。