教員にも便利がよいオンライン授業
大学でプログラミング授業を行う場合、プログラミング・コードの打ち間違いなどで、にっちもさっちもいかなくなる学生が複数出てきます。「動きません」という声に教室を駆け回らなければなりません。Zoomには画面共有機能があり、ふだんは教員が資料を映していますが、学生側でも自分の画面やファイルを共有できます。
授業の合間にQ&Aタイムを作っておき、うまくいかない学生には自分の画面を順次、映してもらいます。教室を走りまわる必要はなく、すぐに原因特定でき、また同じ間違いをしている学生は気がついて修正できる効果もありました。またオンライン授業なので私語もなく、皆が教室の一番前の席に座っているイメージです。もっとも講義中にメッセージで友達とやり取りしているかもしれません。
教える側にとっては大変なオンライン授業
オンライン授業は便利ですが、準備が大変です。今までのように簡単なレジユメを教室で配布して、あとは説明するという授業はオンラインでは通用しません。授業内容を資料として作りこみ、授業前に学生にダウンロードしてもらいます。
また通信環境の影響で授業を視聴できない場合もあるので授業の動画をとってホームページやYoutubeの限定公開版にアップしなければなりません。また前期末の定期試験ができませんので、ふだんから小テストやレポートを学生に課して成績をつけるしかありません。教員は皆、同じことを考えるみたいで、学生に聞いてみたらレポートに追いまくられていました。先輩から、あの授業は出席さえしておかば単位がもらえると聞いていて履修した学生は当てが外れたでしょう。
情報処理科目はオンライン授業と親和性が高いのですが、大学には文系科目を教えている高齢の教員もいて対応できません。大学側で講義を動画で撮影して流しますといったサポートがあるのですが、教員のなかには前期ではなく後期に科目を振りかえて対面で行うと時間割変更もありました。講義がスタートしても教員がZoomを使いこなせず、途中で「今日は休講」といった授業もありました。
Zoom世代が社会へ
21世紀前後に生まれた大学生が新入社員として来年から社会へ入ってきます。大企業ではテレワークを実施できましたが、大企業のように環境整備できない多くの会社では交代で休むような名ばかりのテレワーク運用が続けられました。
大学生のほとんどが大学に行けずに強制的にオンライン授業を受けた初めての世代となります。得難いデジタル経験をした大学生が新しい価値観をもって社会に入ってくることになります。
今までのビジネスモデルでよいのか今までの仕事のやり方でよいのか考えて取り組んでいる会社でないと、あっという間に獲得した人材が転職してしまい、そもそも人が集まらない会社になるかもしれません。Zoom世代への準備はできていますか?