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column

2020年03月18日

合同会社エムアイティエス代表 水谷哲也

リカレント教育が必要な時代へ

AI・IoT・ロボットがこれから社会に浸透するのに伴って雇用環境が大きく変わっていきます。昔は電話交換手やバスの車掌という花形職業がありました。それとは逆に小学生の“なりたい職業ベストテン”にユーチューバーが入っています。このように今後、10年ほどで、今ある仕事のいくつかが自動化などでなくなり、今は存在しない仕事が生まれていきます。

学校を出て就職し、そのまま定年まで勤めるような雇用環境ではなくなり、転職が当たり前になりつつありますが、重要なのがリカレント教育(学びなおし)です。今までは新人を採用して企業内教育によって培ってきましたが、世の中が変わり企業による教育のみでは限界がでてきました。会社を辞めて大学で学びなおすというやり方もありますが、情報化の進展によって、もっと気軽に大学の授業を受けることができる時代になっています。

ムーク(Mooc)が世界で拡がる

ムークとは大規模公開オンライン講座のことで、2008年頃にアメリカでスタートしました。2つの大きなムークがあり、一つがスタンフォード大学から生まれたコーセラ(Coursera)で利用者数が2500万人を突破しています。もう一つがマサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学が始めたエデックス(edX)でこちらも1400万人が利用しています。

ただ日本ではムークはそれほど普及していません。ムークそのものが知られていないことと、基本的に英語などで講義が行われるため敷居が高い点があります。

2014年に日本版ムーク・ガッコ(Gacco)がスタート

世界でムークが拡がり、このままでは日本が取り残されてしまうという危機感から2014年に日本初の大規模公開オンライン講座「ガッコ(gacco)」がスタートしました。会員登録や講座受講は無料で、会員数は64万人を超えています。

受講したい講座を選ぶと4週にわたって講義が行われます。1週あたり5~10本ほどの動画で講義を受け、副教材をダウンロードします。科目によってはオンラインで会員同士が議論できる仕組みもあります。講義が終わると小テストが待っています。最終テストがある講座もあり全体で60点以上を獲得すると終了証(PDF)をダウンロードできます。

ガッコ最初の講座は2014年4月開講の東京大学・本郷和人教授による「日本中世の自由と平等」でしたが、小テストも専門的で難しく、最終テストは「日本中世における自由・平等・平和について」というテーマでの小論文でした。初期の講座は力が入っていたこともあり、受講者にはかなりのレベルが求められましたが、最近の講座はきちんと講義を受講すれば解けるテストとなっています。もちろん講座を受講するだけでテストを受けなくてもかまいません。

ガッコにはどんな講座があるの

いろいろな大学、専門学校、企業、機関などがガッコに講座を提供していますが、比較的、情報系が多く、「はじめてのAI」、「社会人のためのデータサイエンス入門」の初心者向けから「クラウド基盤構築演習」、「ビッグデータマネジメント・アナリティクス」といった専門教育講座まで揃っています。他にも多彩な講座が用意されていて「歌舞伎の経済学」、「アンコールワット研究」、「学べばわかる北前船 一攫千金の夢とロマン、人・モノ・文化の交流史」といった人文系の講座もたくさん用意されています。

反転学習がある

ガッコの特徴として反転学習があります。反転学習に申込すると基礎的な講座内容は自宅で事前に学習して、反転学習が行われる教室へ出かけ、学んだ内容をもとに演習、皆でディスカッションやグループワークをして、さらに深く学習する形になっています。講座をオンラインで受講するのは無料ですが、反転学習への参加は有料になっています。

一つの会社にずっと勤めることが、当たり前ではなくなりつつあり、自分自身のブラッシュアップにリカレント教育は必須です。ガッコは無料でいろいろな講座を自宅でもどこでもネット環境があれば受講できます。スキマ時間にゲームをするのではなく、学んでみませんか。

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