インターネットはアメリカも国連も管理していない
インターネットも同様で世界中のボランティアが参加して運営しています。国連や発祥地のアメリカが管理しているわけではありません。例えばジョン・ポステルという人物がいて大学院生時代からインターネットの構築に関わり、ドメイン名の割り当てなどを行っていました。
研究者は新しいものを創り出す仕事が評価されやすいため縁の下の力持ちのような地道な作業は、ほとんどの研究者が避けます。これを黙々とやり続けたのがジョン・ポステルです。
やがてインターネット上にWWW(ホームページ)が生まれると爆発的にドメインが増え、さすがに個人対応は無理となりIANA(Internet Assigned Numbers Authority)というボランティアグループを創設し、ドメイン名の割り当てなどはIANAが運営していました。このIANAの仕事は国際的な非営利法人 ICANN にさらに引き継がれ、IANAが行っていた各種資源のグローバルな管理の役割を担当しています。
非営利団体などが手分けして運営
インターネットのさまざまな技術仕様やルールなどもどこかで管理しなければなりません。それがRFC(Request For Comment:コメントちょうだい)でジョン・ポステルは30年間にわたりRFCの編集者でした。生涯で200以上のRFCに関わりインターネットに多大な貢献をして、55歳の若さで亡くなります。ジョン・ポステルの偉業をたたえインターネットに多大な貢献をした人物や組織に授与される「ジョン・ポステル賞」が創設され、2005年度にはアジアで初となる村井純教授が受賞しています。RFCはインターネット技術の標準化を推進する任意団体であるIETFで管理されています。
日本でも同様で通信を担当する総務省が管理しているわけではなく、WIDEという組織が作られ、企業などがスポンサーとなり、日本のインターネット運用の一翼を担っています。
企業の寿命は30年と言われるように、一つの企業が100年続くことは稀で、続くと老舗となります。国家も同じで時代や為政者によって方針が変わります。そんな企業や国家が中央で管理するのではなく皆でいろいろな組織を作り管理しているのがインターネットです。時代によってIANA がICANNに変わったように皆で議論して組織も変えていきます。インターネットが誕生から半世紀以上も運営されているのは中央で管理していないからで、もっとすごいネットワークが登場するまで半永久的に続いていくでしょう。