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AIで働かなくてもすむ時代へ

column

2019年04月10日

合同会社エムアイティエス 代表 水谷哲也

新元号が令和となりましたが後世、令和はAI時代だったと呼ばれるかもしれません。

RPAによる省力化

現在、会社の事務分野では人手不足の影響からRPAの導入がすすんでいます。RPAとはロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略で、ロボットといってもハードのロボットではなくソフトウェアのロボットのことを指し、事務用ロボとも呼ばれています。
エクセルを使ってルーチンワークを行う時、マクロ機能を使って一連の動作を記録し、登録しておけば次回からはマクロを実行するだけで、このルーチンワークを自動で行ってくれます。RPAとは、このマクロを高度化したもので複数のソフトをまたがって行うことができます。人間があらかじめルールを設定し、この一定のルールに従って自動化することでホワイトカラー業務を効率化・自動化し、生産性を向上できます。RPAには今後、AI機能が搭載され、事務職の仕事をどんどん取り組んでいくことになります。

AIと協働する時代へ

ホワイトカラーの仕事がAIに置き換わる動きは今度も続きますがAIを、よきアシスタントとして使いこなせれば仕事が置き換わることはありません。AIによってチャンピオンが負かされたチェスの世界では、発想を変えて人とコンピュータがタッグを組んでチームとして戦うことが行われています。人の直観力とコンピュータの検索能力を組み合わせて戦うアドバンスド・チェスという新しい競技です。ホワイトカラーの仕事もAIと協働する仕事の形へと変貌していくでしょう。

ブラックボックスの可視化が重要

AI時代が花開こうとするなか、論議されているのが倫理の問題です。AI兵器などの開発を容認するかなども議論されていますが、産業界で問題になっているのがブラックボックスの可視化です。
アルファ碁などディープラーニング(深層学習)を使った囲碁の対局では、今まで考えられなかった指し手が登場していますが、なぜその指し手がよいのかは判明していません。膨大な計算を行って出てくるAIの思考が人間には理解できずブラックボックス化しています。これでは自動運転車で事故が起こった時に、因果関係を説明できなくなるなど影響が大きいため、開発メーカーにはAIの途中の思考過程を表示させるなど人が説明できるようブラックボックスの可視化が義務化されていくでしょう。

ベーシックインカムが導入される

AIとの協働時代を経て、さらに時代が進むと現在の製造業と同様にあらゆる分野でコンピュータが人間の代わりに多くの作業を行う時代となるでしょう。そこで議論がはじまっているのがベーシックインカムです。ベーシックインカムとは、国がすべての国民に対して最低限の生活をするのに必要とされている現金を定期的に支給する政策で、一律に配られます。反対に生活保護や母子家庭といった概念はなくなり社会保障制度が簡素化され行政コストが下がる効果があります。最低限の生活ができるため生活のためではなく基本的に自分が好きなことを仕事にする世界になるといわれています。

だいぶ先の未来は?

令和の時代が終わる頃にはシンギュラリティ(技術的特異点)が議論されているかもしれません。シンギュラリティとは技術の進化によって、人間の生活が後戻りできないほど変ってしまうようになる点をいいます。例えば人類が火の使用を始めた時や蒸気機関の発明で、産業革命が起きた時もシンギュラリティです。最近ならテレビ、電話、インターネットの登場も同様でしょう。人工知能が人間の能力を超えることもシンギュラリティと呼ばれています。ここから先は映画マトリックスのような世界になっていくのか、ホモ・デウスの世界になるのか予測不能な社会となっていくでしょう。

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