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中国のゲーム業界について

column

2024年11月27日

利墨(上海)商务信息咨询有限公司  中島 萌

中国のゲーム業界は、直近10年間で目覚ましい成長をしており、世界中から注目を集めています。「原神」「荒野行動」など、中国ゲームのタイトルを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。 今回は、日本でも身近になってきている中国ゲームについて紹介します。

中国ゲーム産業の成長

まずは、中国のゲーム産業の成長について、データを用いて紹介いたします。

  • 2023年の中国ゲーム産業の売上高
  • 伽馬データ(微信公众号:ゲーム産業報告)が提供したデータによると、2023年の中国ゲーム市場の売上高は、2014年から約2.6倍に増加しており、3,029.64億元に達し、初めて3,000億元の大台を突破しました。中国ゲーム市場は、2022年には新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時的に縮小しましたが、2014年から拡大し続けていることがうかがえます。(図1)

    図1:中国ゲーム市場 国内売上高推移

    引用:伽马数据(CNG)


  • 世界における中国開発ゲームの発展
  • 世界における中国開発ゲームの売上は、2021年まで毎年増加していました。直近2年ではやや減少していますが、2023年の売上高は2014年の約5倍に達し、10年間で海外での中国開発ゲームのシェアが大きく成長していることが分かります。(図3)

    図3:中国開発ゲームの海外市場売上高

    引用:伽马数据(CNG)

    中国のゲーム会社

    中国産ゲームの国内外での発展には、中国ゲーム企業の急速な成長が大きな要因としてあります。また、多くの企業が海外市場へと目を向けており、日本市場でも成功を収めている企業が増えています。

    以下では、日本市場でヒット作を手掛けた中国の代表的なゲーム会社を紹介します。

  • ネットイース(網易)
  • 「荒野行動」、「DEAD BY DAYLIGHT」「Identity Ⅴ 第五人格」など

    1997年創業のIT企業で、ゲーム事業以外にも、ポータルサイトやEコマースなど複数の事業を展開しています。

    引用:ネットイースHP


  • miHoYo(ミホヨ、米哈游)
  • 「原神」、「崩壊:スターレイル」など

    miHoYo は、2012年に上海で創業しました。代表作の「原神」はリリースから1年で売上2,237億円を突破する大ヒットとなりました。

    引用:株式会社miHoYo HP


  • テンセント(騰訊控股)
  • 「王者栄耀」(おうしゃえいよう,邦題:伝説対決 -Arena of Valor-)

    テンセントは、多くの大手ゲーム関連会社の株を持っていることでも有名で、「フォートナイト」で有名なエピックゲームズの40%の株式を所有しています。(2018年時点)

    その他にも、各国のゲーム会社と提携、子会社化しています。

    引用:ゲーム情報サイト INSIDE


中国国内のゲームに関する規制

中国のゲーム市場が成長する一方で、国内では依然として出版物や映像作品などの創作物に対する規制が厳しく、ゲーム、書籍、映画といったあらゆるコンテンツは政府の審査を通過しなければ発行が許可されません。特にゲームに対しては「有害な影響を及ぼす可能性がある」との政府の見解が強く、未成年者のゲーム利用時間も厳格に制限されています。

  • ゲーム配信に関する規制
  • 中国国内で配信されるすべてのゲームは、国家新聞出版署に申請し、許可番号『版号』を取得する必要があります。政治的な内容や、暴力的表現など、社会に悪影響を及ぼす内容が含まれていないかなど、厳格に審査されます。この規制は、中国市場でゲームをリリースする上で、大きな障壁となっています。

  • 未成年ゲーム中毒防止の規制
  • 中国でオンラインゲームを行う際には、すべてのユーザーが本名、国民ID番号を提供しなくてはいけません。また、2021年より、未成年がオンラインゲームをできる時間は1週間で約3時間に定められています。

    また、未成年者がゲーム内でアイテムなどを購入する金額には上限が設定されており、ゲーム出版社ごとに子供一人につき適用されます。

    0〜8歳:ゲーム内購入は許可されていない。

    8〜16歳:月額200人民元、取引あたり50人民元。

    16〜18歳:月額400人民元、取引あたり100人民元。

    参考:

    BIZLAB Magazine(ビズラボマガジン)

    【中国のゲーム規制】なぜ規制?政府の狙いとゲーム産業への影響を解説

新たな規制案の発表とその廃止

2023年12月、国家新聞出版署はログインボーナスの禁止などを含む新たな規制案を発表し、中国のゲーム業界に大きな影響を及ぼしました。この規制案により、騰訊控股(テンセント)や網易(ネットイース)といった主要ゲーム企業の株価は急落し、株式市場での時価総額も大幅に減少しました。

市場の混乱を受け、国家新聞出版署は2024年1月にこの規制案を撤廃するという異例の対応を行い、混乱の収束を図りました。これらの動向は、中国のゲーム市場が国内経済全体にも影響を及ぼす存在となっていることを象徴しています。

参考:2024.02.29「中国、関連株急落のゲーム規制案白紙に 透ける経済優先」

まとめ

中国国内では、ゲーム配信や未成年者のゲーム利用に関する規制が厳しく、中国のゲーム企業は規制への対応を余儀なくされています。しかし、厳しい制約の中でも引き続き魅力的なタイトルを開発・提供しており、その人気は国内にとどまらず、海外にも広がっています。

中国のゲーム企業が海外市場に積極的に進出している背景には、国内規制の影響を回避し、自由な市場環境で収益を拡大したいという戦略的な意図もあると考えられます。

今後、中国のゲーム市場が拡大するにつれ、中国政府が国内規制をどのように調整していくのかは、中国のゲーム業界の成長や海外進出に大きな影響を与えると考えられ、引き続き注目していきたいです。

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※ この情報は、2024年10月時点のものです。

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