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グーグルには59分60秒がない

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2024年01月10日

合同会社エムアイティエス代表 水谷哲也

1年は365日ですが実際は約365.242194日です。太陽暦を作った時に365日を1年と決めました。ただ年ごとに端数分が累積するので補正するために4年経つと、うるう年として2月で補正し、うるう年の2月は29日までとなります。うるう年以上にIT業界で大変なのが、うるう秒の扱いです。

明治になるまで太陰暦が使われていた

昔、アイルランドでは2月29日に女性が男性にプロポーズでき、男性は断れないという伝統がありました。断るには罰金を払うか、絹のドレスを贈らないといけませんでした。

月の満ち欠けを使って計算する太陰暦の1年は約354.367068日となり、354日を1年と決めています。太陰暦は太陽暦に比べて約11日短く、3年過ぎると約1か月のずれがでます。そこで3年過ぎると、うるう月を付けたし、その年を13ヶ月にしました。赤穂浪士の討ち入りがあった元禄15年は、うるう月があった年で8月が2回ありました。

江戸時代は太陰暦が使われていました。太陰暦は農作業に便利で、暦には二十四節気が書かれていました。二十四節気とは1年を24等分した季節の変わり目です。今でも寒の入り、節分、立春などよく使われています。

また暦には歴注が書かれていました。歴注というのは日時・方位などの吉凶やその日の運勢などです。方角が悪いと方違え(かたたがえ)として目的地とは別の方角に行ってから方向を変えて目的地に向かっていました。この歴注を見るために暦を買っていました。

倒産防止のために暦に六曜が導入される

暦は専門業者が作成し、販売していました。ところが明治になると西洋諸国にあわせて太陽暦の導入がはかられます。この時に政府が、とんでもないことを言いだします。今後は暦注みたいな迷信は書いちゃだめというお達しです。さあ困ったのが暦の作成業者。新暦(太陽暦)で暦を作っても日だけしか書かれていない暦なんか、誰も買いません。このままでは倒産です。

苦肉の策で、”これなら歴注じゃないでしょう”と暦に入れたのが六曜です。政府も倒産まで追い込むのはやめようと考えたようで黙認となりました。六曜というのは先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口で、意味がない単なる順番です。旧暦の毎月1日にそれぞれの六曜を割り振るのがルールで例えば1月1日と7月1日は先勝からスタートします。

ここから暦業者の奮闘が始まります。日の横に六曜を目立たせて記載し販売します。買った側が勝手に漢字の意味を解釈して、いつしか”結婚式はやっぱり大安”、”友引の葬式はダメ”と言われるようになり、現在まで伝わることになります。

ITの世界では、うるう秒が大変

コンピュータが普及すると秒単位の補正が必要になり、うるう秒が生まれます。地球公転速度から計算した秒と実際の秒との差異を補正するもので1972年に導入されました。うるう秒の挿入は今まで27回行われています。2017年には世界標準時の2016年12月31日23時59分に行われました。59秒の次は00分にならず60秒となり、うるう秒が追加されます。

1秒というのはコンピュータにとってはすごく長い時間です。スーパーコンピュータ「京」は1秒間に1京回(1の後ろに16個のゼロがつく)の計算をします。2012年の、うるう秒挿入ではSNSサービスが長時間ダウンしたり、Webサービスにトラブルが発生したりとシステム障害が発生しています。そこで国連では2035年までに、うるう秒を廃止すると決議しました。

グーグルには59分60秒がない

昔のアナログ時計では時報と共に手で時刻をあわせました。今はインターネットにつながった機器は時刻あわせ(NTP)サーバを参照して時刻合わせをしています。 うるう秒挿入はシステム障害の可能性が高いのでグーグルは時刻合わせするサーバを20時間かけて低速化させ、うるう秒の挿入と同じ1秒をかせぐようにしています。ですのでグーグルでは59分59秒の次は00分00秒で60秒にはなりません。

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