0120-70-4515
電話受付:平日 10:00〜17:00
(土・日・祝日休)
column
2023年02月01日
利墨(上海)商务信息咨询有限公司 倉田 瑞穂
GDP世界第2位、14億人の超大国の中国ですが、直近ではコロナウィルスの影響で経済が急減速しています。その急減速した経済の中でも毎年新卒の人数は増え続けて います。今回はその中国の新卒での就職活動をみていきたいと思います。
中国は欧米と同様に9月に入学の6月に卒業が一般的です。 就職活動のスタートは大学3年の途中 or 4年生の初めからが最も多いです。 ※中国の大型連休(国慶節:10月初め、春節:1月後半から2月初旬)の間に 多くの企業が募集や説明会を行います。
日本のリクナビ、マイナビのような大手の就職活動のナビサイトが中国にはありません。 ※学生が企業情報を収集するチャネルはいくつかあります。 企業への直接応募やジョブフェア(日本での企業説明会)を活用するのが一般的です。 ジョブフェアは大学構内で実施するため、企業側は募集する職種に応じて出展する大学を選びます。
中国ではインターンシップ参加の割合が87.7%と非常に高いです。 そして正社員と同じ業務を任され、給与も発生します。 ※日本の短期インターンシップのようなものがなく、長期インターンシップが 一般的であるイメージです。
集団面接やSPIなどを実施するケースは少なく、またポテンシャル採用のような考え方もほとんどありません。学生生活の成績、海外留学経験、研究結果、インターシップの成果などから新卒でも即戦力となれる人材を採用するのが一般的です。
2022年の就職率ですが、去年と比較し約6%減の50.4%となっています。就職した人が減少し、自由职业(フリーター)や慢就业(無職)の割合がそれぞれ約3%ずつ増えています。 また、最終的な就職率は6%減ですが、その前提の内定率(2022年4月時点)は16.1%の大幅減となっております。(2022年内定率:46.7%、2021年内定率:62.8%) このことから妥協した(希望の会社や職種に就職できていない)学生も多いと 思われ、非常に厳しい就職活動であることが分かります。
1)とも関係していますが、2022年の就職活動が厳しいため、修士課程で博士号を取得する(大学院などに進学する)学生が増えています。※前年度より7%増加している
2022年の就職希望者の月収予想は6,295元で、昨年の6,711元より約6%低くなって います。中国の人件費が年々上昇していたことを考えるとこれも異常なことです。 コロナウィルスの影響で採用する企業側の条件も厳しくなり、結果として就職希望者 の月収予想も低くなっていると思われます。
また、2022年の就職希望者の企業規模も大企業から中小企業へシフトしています。 大企業での採用が抑制された影響だと思われます。
薪酬福利(給与などの待遇)、工作和生活平衡(仕事と生活のバランス)は引き続き高いが、大环境不好、稳定最重要(企業の安定)を重要視する人の割合が急激に増えています。 その一方で行业/公司前景(会社のビジョン)などを重視する人の割合は大幅に減少しています。コロナウィルスの影響でより安定を求めていることが分かります。
私は2023年の1月で中国駐在が2年となります。この2年間で現地での採用面接(新卒含む)を数十件行いましたが、今年は優秀な面接者が多いです。現地の新卒採用イベントでもイベント参加企業は減りましたが、面接者は去年と比較し2~3割増えておりました。このことからも採用する側にとっては優秀な学生を採用するチャンスと言えます。今後も大卒者は増え続けますが、企業の採用はますます厳しくなってくることが予想されます。ウィズコロナに転換した中国の今後の中国の就職活動を引き続き注視したいと思います。
関連コラム