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2023年05月31日
利墨(上海)商务信息咨询有限公司 山田 望由
2022年の中国は、ゼロコロナ政策の年でした。上海ではロックダウンによる厳しい外出制限を受け、また他地域も外出自粛や、PCR検査の継続実施など、制限された労働節を過ごしました。 2023年は一転、労働節の国内旅行者は、新型コロナウイルスが流行する以前の2019年度の1.2倍増となったといいます。 今回は、脱コロナ、今年の労働節の過ごし方についてご紹介します。
労働節は毎年5月1日と制定されており、中国では「五一(wǔyī)」とも呼ばれます。5月1日の前後に数日の休みが付与され、日本のゴールデンウィークのように長期の休日となります。
今年の労働節、コロナが明けた1年目、どんな旅行先が人気だったのか、ランキングは次の通りです。
2023年の労働節は、国内旅行が全体の9割と、中国国内の有名な観光都市、有名な観光スポットが活気を取り戻した結果となりました。海外への旅行者は全体の1割ほどで、アジア圏の旅行先が人気となりました。
2022年は、外出制限により、公園や、ピクニック、キャンプなど、近い場所での新しい遊び方に目を向けた年でしたが、2023年は、平均移動距離は前年より25%増加し、飛行機による平均移動距離は約1,600キロメートルと、直近4年間で最長となりました。
2023年、特長的だったのは、人気急上昇の1位となった、淄博(zī bó)です。労働節の前から、徐々に人気となり、労働節中の検索率は4月と比べ605%と注目されました。2位の甘南は、中国の小チベットとも呼ばれ、美しい自然の景観が評価され、全国から観光客を集めました。
(参考)
葫蘆島(遼寧省)…海水浴場、九門口水上長城と呼ばれる万里の長城などが有名。
隴南(甘粛省)…官鵝溝国家森林公園、万象洞などの観光スポットが有名。
日照(山東省)…海水浴場、海鮮料理で有名。
前項でも触れましたが、今年急に注目となった場所が山東省中央部に位置する都市、淄博(zī bó)です。この淄博で食べるバーベキューの人気が急上昇となり、労働節期間中、淄博駅の旅行客数は24万人を超え、2019年の同時期より8万5千人増加しました。また、Wechatの発表によると、この労働節期間中、観光による消費額は4月に比べ約70%増加、1日の平均消費額は4月に比べ約40%増加しました。
淄博バーベキューの様子。屋外に設置されたテーブルで、自分たちで焼きます。
参照:新浪财经「【图集】这个五一,超20万人去了淄博」この淄博が注目されるきっかけとなったエピソードがあります。2022年5月、山東大学の学生達がコロナによって淄博で隔離を受けた際に、淄博政府は学生たちに手厚いフォローをして、隔離終了前の最後の食事としてバーベキューを用意しました。学生達は淄博政府と淄博市民に深く感謝し「春になったら、客として友達と来ます」と約束したそうです。
そして2023年、淄博バーベキューはSNSで急速広まり、20代、30代を中心に、人気の観光地となりました。この人気を受け、淄博政府は、淄博バーベキューのブランド化を進め、バーベキューに関するイベントを行ったり、他の観光スポットの無料開放日を設けたり、PRを押し進めています。
トレンドの移り変わりが激しい中国で、この人気は継続維持できるのか今後動向が気になるところです。
観光収入は、2019年1,177億元から2023年1,481億元となり、25%増加となりました。また、国内旅行者数は、2019年に比べ40%増加と、いずれもコロナ前の水準を超える結果となり、2023年の労働節の盛り上がりがわかります。
ところが、観光収入を国内旅行者数で割った、一人当たりの収入額を、一人当たりの消費額と読み替えると、2019年は603元だったところ、2023年は540元と2019年に比べ10%減少となる結果となりました。旅行者数は増えたものの、旅行に対する支出を抑える傾向が強かったということになります。コロナによる自粛期間を経て、所得に対する影響や、消費に対して消極的になった結果、節約の意識が強まったと思われます。
2023年度はコロナによる制限が解除され、中国全土で旅行の労働節となりました。さすが中国14億人の活気はすさまじいものがあります。この労働節期間中、抖音(TikTok)では、「人山人海(人が山や海のごとくいる様)」の様子がアップされ、トレンド入りしました。
このように、人が大勢動く観光地では依然として、宿泊料金や、飛行機チケットの高騰や、長い行列などの課題は残っています。また、外国人の目線からですが、オンラインのチケット購入時に身分証としてパスポート登録できず、当日長蛇の列に並びチケットを買わなければならない場所もまだあり、外国人向けのサービス拡充も課題といえそうです。
今後の長期休暇は、どのような旅行先が人気となるのか、新しい人気観光地ができるのか、課題解決に向けた取り組みなど、移り変わりの激しい中国トレンド情報を引き続きピックアップし発信して参ります。