おわりに
令和3年4月1日に施行された改正高年齢者雇用安定法により、70歳までの就業確保が努力義務化されました。健康寿命も進むなか高年齢者が元気に活躍できる環境を整備すること、労働者不足への対応が「雇用保険マルチジョブホルダー制度」新設の目的ではないかと考えます。
行政としても制度を新設したものの、現時点で対象者がどれだけいるのか、また今後どれだけ増加していくのかは予測が難しいようです。そのため5年後には制度の見直しを実施することになっています。
※参考:厚生労働省HP
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2022年01月19日
社会保険労務士法人味園事務所 特定社会保険労務士 味園公一
雇用保険において令和4年1月1日より「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されます。まったく新しい雇用保険被保険者資格となりますので、対象労働者も会社も新たな手続に対応する必要があります。今回はその概要と注意点を紹介します。
従来は主たる就業先(以下、「事業所」といいます。)での労働条件が、1週間の所定労働時間20時間以上、かつ31日以上の雇用の見込みがある等の適用要件を満たす場合に、雇用保険の被保険者となることができました。
これに対して、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合わせて一定の要件を満たす場合に、雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
※厚労省の制度概要説明URL
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000838543.pdf
以下の要件を満たす労働者本人が、自身の住所地を管轄するハローワークに申し出ることで、申出を行った日から特例的にマルチ高年齢被保険者となることができます。
離職日以前1年間に11日以上の賃金支払いの基礎となった日数のある完全な月が6か月以上(11日に満たない場合は80時間以上)の勤務実績等あれば、失業給付(俗にいう「失業保険」)を受給することができます。
この失業給付は、被保険者であった期間に応じて30日分または50日分の一時金が支払われます。
雇用保険の被保険者資格の取得や喪失手続きは、通常は事業主(会社)が行いますが、マルチ高年齢被保険者の場合、基本的に、雇用保険への加入を希望する労働者本人が手続を行う必要があります。
手続に必要な雇用の事実や労働時間などの証明は、労働者本人が事業主(会社)に依頼し、適用を受ける2社についての以下の書類を揃えて、住所地を管轄するハローワークに申し出ます(電子申請での届出はできません)。
※その他の注意点等は以下、厚労省Q&Aを参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508_00002.html
令和3年4月1日に施行された改正高年齢者雇用安定法により、70歳までの就業確保が努力義務化されました。健康寿命も進むなか高年齢者が元気に活躍できる環境を整備すること、労働者不足への対応が「雇用保険マルチジョブホルダー制度」新設の目的ではないかと考えます。
行政としても制度を新設したものの、現時点で対象者がどれだけいるのか、また今後どれだけ増加していくのかは予測が難しいようです。そのため5年後には制度の見直しを実施することになっています。
※参考:厚生労働省HP