中国の電気自動車会社が日本の市場に参入するなど、中国で電気自動車の成長が加速しています。日本ではまだまだガソリン車が多い状況ですが、中国ではタクシーをはじめ、かなりの台数の電気自動車が走行しております。また、電気自動車が増加するにつれ、電気自動車充電スタンドも増加していると感じるようになってきました。今回は、最近の中国の電気自動車の状況についてご紹介いたします。
2021年に電気自動車が急成長した理由
2021年も電気自動車が急成長した理由としては3つの要因があります。
①中国政府の政策刺激
走行制限の廃止、電気自動車専用のナンバープレートの発行など電気自動車を利用し易くするための政策を行う一方、特定領域への強制規定として新規のタクシー、レンタカー公用車は電気自動車の使用を強制させるなどガソリン車への締め付けも行っています。
②ガソリン価格の上昇
新型コロナウイルスの感染拡大及び、石油輸出国機構(OPEC)の石油増産見送りなど2021年はガソリン価格が急騰しました。ガソリン価格の上昇は長期化すると見られ、ガソリンを使用しない電気自動車が注目されました。
③電気自動車の利便性向上
2017年の時点では電気自動車は1回の充電で走行距離180kmほどだったのですが、2021年に販売された電気自動車では1回の充電で走行距離が最大700kmまで進歩しました。これにより電気自動車を購入する人が増加しました。
中国における電気自動車主要メーカー
中国で電気自動車を販売しているメーカーは非常に多く、主要メーカー10社は下記の表となります。日本では電気自動車といえばTeslaが有名ですが、中国ではTeslaよりも上汽通用五菱というメーカーが電気自動車を最も多く販売しております。
上汽通用五菱は中国の三大自動車メーカーの一つである上海汽車、自動車部品を制作している広西汽車、さらに、米企業のゼネラルモーターズの3社による合弁会社として設立されました。ゼネラルモーターズは米国での存在感が年々薄れているため、今後は中国への販路に力を入れていく可能性があります。
電気自動車を普及させるための中国政府の施策
中国政府は2030年までに新車販売台数の約50%を新エネルギー自動車(電気自動車・ハイブリッドカー・燃料電池自動車)に置き換えることを目標としております。その目標を実現させるため、様々な施策が行われております。
①新エネルギー自動車の購入による消費税の免税
現在、新エネルギー自動車購入にかかる消費税は免除されております。
こちらの政策は当初2022年12月31日までとされておりましたが、今後も免税期間が延長される見通しとなっております。
参照:新能源汽车购置税将继续免征
②各地域での新エネルギー自動車補助金制度
消費税の免除だけでなく、各地域で新エネルギー自動車の購入を補助するため、様々な施策が行われております。一例として下記のように新エネルギー車購入のための補助金が出ます。
北京:
新エネルギー自動車の買換えを促進するため、ガソリン車を下取りに出して、排出ガスを基準より下回るなど環境条件をクリアした新エネルギー自動車を購入すると最大1万元補助金が支給されます。
参照:北京:“以旧换新”新能源车补贴1万元
上海:
排出ガスを基準より下回るなど環境条件をクリアした新エネルギー自動車を購入すると最大4,000元補助金が支給されます。さらに、新エネルギー車の使用過程で発生する充電費用を最大5,000千元まで補助されます。
参照:充电给予一定补贴 上海新能源汽车新政
さいごに
新型コロナウイルスによって、全体的に消費が落ち込んでいる中国ですが、電気自動車においては急速に成長しています。中国政府も2030年までに電気自動車業界をリードしていくと発言しており、今後も普及に向けた施策を行うと思われます。さらに海外展開も進めており、今後世界で中国の電気自動車がどれだけシェアを取ることが出来るのか注視していきたいと思います。