中国では2022年10月に「党大会」が実施されましたが、皆様はどんな集会か、何が決まるかご存知でしょうか。全国人民代表大会(以下、全人代)と混乱されている方もいるかもしれません。そこで今回は党大会についてご紹介していきたいと思います。
以前、全人代についてまとめた記事もありますので、ご参考ください。
中国共産党大会と全国人民代表大会との違い
党大会と全人代の違いはわかりますか?違うポイントを4つに絞り、ご紹介いたします。
1.機関が異なる
党大会:「中国共産党」の最高権力機関。つまり中国共産党の最重要事項を決定する会議。
全人代:「国」の最高権力機関。日本の国会に相当する会議と言われている。
2.参加資格が異なる
党大会:共産党員のみ。
全人代:共産党員、民主党員、無党派、宗教関係者の代表資格者。
3.幹部メンバーが異なる
党大会:党大会によって選出された「中央委員会」で、中国共産党の代表として、党大会の決議を履行し、党の全業務を指揮する。
全人代:全人代によって選出された「全国人民代表大会常任委員会」で、全人代(国)の代表として、全人代の人事など重要な権限を行使する。
→現在の総書記、総理など重要なメンバーは「中央委員会」に在籍しており、中国の中で最も重要な機関とも言えます。
4.開催時期・決定事項が異なる
党大会:5年に1度9~11月開催。党政策の大方針を決める。
全人代:1年に1度3月頃開催。党大会で決められた党政策の大方針を中心に、全人代で国としての政策を決める。(政策、予算、憲法や法律の制定・改正、人事等)
→党大会で決まった方針は、国の実質的政策に反映されるため、今後の国の方針を左右する重要な会議であることがわかります。
参照:【“微”讲堂】党代会、人代会,区别在哪儿? (iqilu.com)
過去の党大会では何が決まった?
ここからは具体的に過去の党大会にて何が決まったのか?事例をご紹介していきたいと思います。
第一回(1921年7月開催)
「中国共産党の綱領(理念や活動方針など)」を採択し、中国共産党の誕生を正式に宣言。
第十二回(1982年9月開催)
中国の特色ある社会主義思想の建設という重大な課題と「小康」戦略目標を提出。
「改革開放」が本格化し、社会主義近代化建設に新たな局面が生じた。
※小康:家計にややゆとりがあり、安定した生活を維持できる状態。
第十四回(1992年10月開催)
鄧小平前総書記が「社会主義市場経済」を構築することを明らかにした。
中国の改革開放と社会主義近代化が新たな発展段階に入ったことが示された。
参照:共产党新闻网—资料中心—历次党代会 (people.com.cn)
「中国共産党」が中国にとって最も重要な組織であることをご理解いただけたでしょうか。その重要な組織の人事、ルール、政策方針などが決まる会議が「党大会」です。
2022年に入ってからは私のお客様より「明るい話がない」という声が多く、経済の不安が増してきております。今回の党大会で打ち出された方針では、自社の業界にどのような影響が出るのか?を予測し、取引先のリスクヘッジを考えていくようにしていきましょう。