さて、近年目覚ましい発展を遂げている中国市場ですが、その代表格ともいえるのがIT市場です。日本でも有名なアメリカの世界的IT企業群GAFAですが、それに匹敵する中国のIT企業がBATH(Baidu、Alibaba、Tencent、HUAWEI)です。
中国で圧倒的に稼げるIT業界
以下「中国の各業種平均年収ランキングTOP5(2019年)」に記載の通り、中国ではIT業界が他業界と比べて圧倒的に稼げています。
中国では、直近10年の成長率が2倍(GDP換算)になっており多くの業種で平均年収がアップしていますが、その中でもIT業界の成長率が群を抜いています。
※IT業界は、直近10年で約2.5倍、年収がアップしています。
個人資産も桁違いで、中国版2020年長者番付でも、1位がAlibaba Group創業者の馬雲(Jack Ma)氏(約6兆2620億円)、2位がTencent創業者の馬化騰(Pony Ma)氏(約6兆1055億円)とIT企業の創業者が1位、2位を占めています。
※ちなみに日本の2020年長者番付1位はファーストリテイリングの柳井正 氏の2兆3870億円です。
【中国の各業種平均年収ランキングTOP5(2019年)】
順位 |
業種 |
平均年収 円(元) |
1 |
信息传输、软件和信息技术服务业(IT) |
約266万 円
(161,352元) |
2 |
科学研究和技术服务业(ハイテク) |
約220万 円
(133,459元) |
3 |
金融业(金融業) |
約217万 円
(131,405元) |
4 |
卫生和社会工作(医者、公務員) |
約180万 円
(108,903元) |
5 |
电力、燃气及水的生产和供应业(工業) |
約178万 円
(107,733元) |
※出典:国家統計局からのデータ
中国の就職で圧倒的人気のIT業界
中国の就職でも圧倒的な人気を誇るのがIT業界です。「新卒が就職したい業種のランキング(2019年)」でも2位の金融業に10%の差をつけています。中国では「中国製造2025」、「インターネットプラス政策」、「次世代AI発展計画」などを発表し、国家戦略としてITの活用(AI、IOT、自動運転、ビッグデータなど)を進めています。その中心にいるIT企業に学生の人気が集まることは自然な流れかと思います。
【新卒が就職したい業種のランキング(2019年)】
順位 |
業種 |
割合 |
1 |
IT |
24.38% |
2 |
金融業 |
14.14% |
3 |
教育業 |
11.41% |
4 |
製造業 |
7.73% |
5 |
広告、メディア |
7.42% |
※出典:「58同城」からのデータ
【IT企業の人気ランキング(2020年)】
順位 |
企業 |
主要サービス |
1 |
阿里巴巴(Alibaba) |
Alibaba Cloud(クラウドサービス)
淘宝網(電子商取引)
Alipay(スマホアプリ決済) |
2 |
字节跳动(TikTok) |
TikTok(ショートビデオプラットフォーム) |
3 |
腾讯(Tecent) |
WeChat(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
テンセントQQ(騰訊QQ=インスタントメッセンジャー)
テンセントゲームズ(ゲーム) |
4 |
华为(HUAWEI) |
スマートフォン、タブレット |
5 |
京东(JD.COM) |
京东(電子商取引) |
※出典:「58同城」からのデータ
良いところばかりではないIT企業
皆さんは「996工作制」という言葉をご存じでしょうか。朝9時に出勤、夜9時に退勤、週6日働くという雇用制度で、中国のインターネット及びソフトウェア業界で生まれた言葉です。中国の労働法(週平均44時間勤務)にも違反している雇用制度(週72時間勤務)ですが、中国の特にIT系新興企業に久しく蔓延していると言われています。一般的な中国企業では残業はあまりありません(筆者の周りでもほとんど見かけません)。日本と違い、残業が一般的でない中国でこの雇用制度は相当なブラックと言えるでしょう。
アメリカとの対立や労働環境の改善など課題もありますが、圧倒的な規模やスピードで成長を続ける中国のIT企業の動向を引き続きチェックしていきたいと思います。