法改正の内容
- 「時間」とは、1時間の整数倍の時間をいい、労働者からの申し出に応じ、労働者の希望する時間数で取得できるようにする必要があります。
- 法令が求めているのは、労働時間の途中のいわゆる「中抜け」無しの時間単位休暇です。ただし、「中抜け」を認めることは法令を上回る労働条件ですので有効です。
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2020年12月16日
社会保険労務士法人味園事務所 特定社会保険労務士 味園公一
令和3年1月1日より、育児や介護を行う労働者が子の看護休暇や介護休暇をより柔軟に取得することができるよう、これらの休暇が時間単位で取得できるようになります。
今回は、この時間単位取得に関する具体的なケースを一部ご紹介します。
子の看護休暇とは、負傷し、または疾病にかかった子の世話または疾病の予防(予防接種や健康診断)のために必要な世話を行う労働者に対し与えられる休暇です。また、介護休暇とは労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇です。いずれも年次有給休暇とは別に原則として年5日間与えられます。これらは、子育てや家族介護をしながら働き続けることができるように支援するための制度です。
当社の所定労働時間は月~金7時間、土5時間となっていますが、看護休暇の取得状況等管理を時間単位でのみ行いたいと思います。法令上問題がありますでしょうか。
A1
法令上は「日または日と時間」で管理する必要があります。所定労働時間が日によって相違しても、時間単位で取得することができるのは1日の所定労働時間に満たない部分です。よって土曜日も5時間の全てにおいて休暇を取得した場合は1日とカウントします。なお、日単位で取得するか時間単位で取得するかは労働者の選択によります。加えて、シフト勤務により1日の所定労働時間が一定ではない者については、1年間(1年間での算定が不可能な場合は、算定可能な期間)の1日平均所定労働時間の看護休暇を取得した場合には1日とカウントしますが、これも、1日の所定労働時間未満の休暇を複数回取得した際に休暇取得時間を合算したときの話です。
Q1の所定労働時間の者の時間単位での管理の方法で、対象社員の取得可能な時間を、取得可能日「5日」に「平日の所定労働時間=7時間」をかけた35時間までとして管理する事は法令上問題ありますでしょうか。
A2
土曜日の所定労働時間が5時間であるにも関わらず、「5日×7時間=35時間」を取得可能時間とすると、労働者にとって有利なように見えますし、運用上も分かり易いとは思いますが、法令上は「日または日と時間」で管理する必要があります。
弊社の物流部門では変形労働時間制を導入しており、1週間ごとに日勤、夕勤、夜勤を交替で勤務しております。所定労働時間は、日勤が6時間30分、夕勤が6時間、夜勤が8時間30分(土曜日は各々を2時間短縮した時間)です。年35時間を上限として介護休暇を与えても問題ないでしょうか。
A3
時間のみで管理することが、法令上許されてはないことは前述の通りです。なお、時間をカウントする際、1日の所定労働時間が相違する者の取扱いについては、A1の通りです。
所定労働時間が6時間30分または8時間30分の日に丸1日休暇をした場合に1時間に満たない30分は、切り捨て、切り上げのどちらで管理するべきでしょうか。
A4
丸1日取得した場合の取り扱いはA1の通りですが、1日の一部を時間で取得した場合に1時間未満の端数がある場合は、切り上げてカウントします。ただし、休暇が無給の場合で賃金控除をする際には切り上げてはいけません。「子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A」の問1-2には、「分単位で取得できる制度を既に導入している場合は、改めて時間取得制度を導入しなくて良い。」とありますので、分単位の運用も容認されています。
運用上、一番手間がかからなく公平なのは、取得可能時間も取得時間も賃金控除(または賃金支払い)時間も全て分単位で管理することだと考えますが、行政の資料を読み解く限り、その運用が認められていないようです。
参照文献等 : 厚生労働省HP