上海の経済
中国GDPは現在世界2位で、日本が3位に順位が入れ替わったのは、2010年と約10年前ではありますが、都市で比較をするとどのような結果が出るかご存知でしょうか?
GDP:東京都の半分?!
上海市の2019年度GDPは、3兆8,155億元(日本円換算:約58兆7千億円)で中国の都市で、首都北京(GDP3兆5,371億元)を抑えて中国一番の規模です。日本と比べると東京都GDPの約半分107兆7千億円(対上海市比54%)ですが、前年比GDP成長率で見ると上海市が5.9%に対し、東京都は0.9%と大幅に開きがあります。また、10年前の上海市の2009年度1兆5,046億元と比べると、約2.5倍の規模に成長をしていますが、東京都の2009年度85兆2千億円との比較では26%増の成長率にとどまっています。
現時点では東京都と上海市では大きく差がありますが、近年の急激に成長している上海市は、今後の発展と可能性を秘めた魅力的な都市であることが伺えます。
GDP | 2019年度 | 前年比 | 10年前比 |
---|---|---|---|
上海市 | 58兆7千億円 | 5.9%↑ | 153%↑ |
東京都 | 107兆7千億円 | 0.9%↑ | 26%↑ |
※上海市の金額は、比較するために1元15円で置き換えて記載。
産業:意外にも工業が主力?!
上海は、中国の商業、金融、交通などの中心地とも言われていますが、実は現在の主力産業は「工業」です。2019年度では、第三次産業の割合が70%を超えており、付加価値額で「工業」が最も多く9,670億元。前年比成長率が高い業種は、「金融業」11.6%増で、最も金額で多かった「工業」は0.4%の伸びとなりました。
「工業」のうち、「電子情報製品製造業、自動車製造業、石油化学工業及び精密化学工業製造業、逸品鋼材製造業、プラントセット製造業、生物医薬製造業」の6つが上海重点工業と言われており、工業総生産額の67%を占めております。
成長率が一番高かった産業「金融業」ですが、金融センターの開設、改革が促進された関係から、証券取引所、先物取引所、金取引所、共に取引量が増加しております。また、保険会社の保険料収入も大きく増加しているところも、成長率が高くなった要因の一つです。
近年では、新エネルギー、ハイエンド機器、新世代情報技術、新素材など「産業戦略的新興産業」の成長が著しく、付加価値額が6,133億元(前年比8.5%増加)で、今後期待される産業であると言われております。
主要産業・付加価値 | 2019年度 | 前年比 |
---|---|---|
工業 | 9,670億元 | 0.4%↑ |
金融業 | 6,600億元 | 11.6%↑ |
卸売・小売業 | 5,023億元 | 2.4%↑ |
情報産業 | 4,094億元 | 10.1%↑ |
不動産 | 3,300億元 | 5.1%↑ |
交通運輸・郵便業 | 1,650億元 | 3.6%↑ |
貿易:港の貨物の輸出入総額 世界都市のトップ!
上海港の貨物の2019年度輸出入総額は8兆4,267億元で、前年より1.2%下落していますが、世界都市のトップに立っています。そのうち、輸入は3兆5,453億元で、2.6%減少しました。輸出は4兆8,814億元で、0.2%減少しました。
工業が依然として規模は大きいものの、金融業や情報産業、新興産業などが成長を牽引しているところから、「世界の工場」から「世界の市場」への動きが見えた数字の変化だと思います。魅力的な「世界の市場」の経済変化を先読みし、ローカル企業との関わり合いを如何に上手く取引していくかが、今後のカギになるのではないでしょうか。
【上海市基礎情報まとめ】
各項目 | 2019年度 | 前年比 |
---|---|---|
面積 | 6,340.5㎢ | ― |
人口 | 2,428万人 | 0.2%↑ |
人口密度 | 3,829人/㎢ | 0.2%↑ |
GDP | 3兆8,155億元 | 5.9%↑ |
第一次産業GDP割合 | 0.27% | 5.0%↓ |
第二次産業GDP割合 | 26.99% | 0.5%↑ |
第三次産業GDP割合 | 72.74% | 8.2%↑ |
一人当たりGDP | 15万7,279元/人 | 5.7%↑ |
一人当たり可処分所得 | 6万9,441元 | 8.2%↑ |
社会消費品小売総額 | 1兆3,497億元 | 6.5%↑ |
輸出額 | 4兆8,814億元 | 0.2%↓ |
輸入額 | 3兆5,453億元 | 2.6%↓ |
上海に赴任して約1年半経過しますが、改めて数値で見ると把握できていないことが多く、数値確認の重要性を再認識いたしました。本記事をお読みの皆様は、すでに実践されていると思いますが、自身の業界や自社の数値等、今一度整理していただき、今後の事業戦略を見直すきっかけにしていただけますと幸いです。
日本よりも経済成長を感じやすい環境にいることを再認識できましたので、上海の成長に負けないよう自分自身も成長していきたいと思います。
※ 上海の数値情報は下記参照。
※ 日本の情報は下記参照。