勤怠管理は、組織で働く上で、本人にとっても、上長や管理部門にとっても重要な業務です。そのデータは、給与や人事評価の基準となるとともに、働き方改革の観点から、法律の許容を超えた労働を抑止するための防波堤でもあり、公に示すための証拠ともなります。
昨今はテレワーク導入も進み、人の目で労働時間を把握することが難しくなる状況も発生していますが、だからこそ、勤怠管理で従業員の心身にわたる健康度をモニタリングすることが求められます。
勤怠管理はシステム化に適した領域で、実現すると、従業員、上長、管理部門それぞれが多大なメリットを得られます。今回は、勤怠管理のシステム化のメリット、そしてお薦めの勤怠管理システム「J-MOTTO Web勤怠」の特長について解説します。
そもそも勤怠管理とは?なぜ勤怠管理を行うのか
勤怠管理は、従業員の労働時間を管理する業務です。その文字を見ると、従業員がちゃんと仕事に「勤(いそ)しんだ」のか、それとも「怠けた」のかを管理することから始まったように思えます。
では、なぜ勤怠管理を行わなければならないのでしょうか。
第1の理由は、給与額を算出する必要があるからです。会社と従業員の間には、契約で定められた1日/1か月当たりの所定労働時間というものが存在し、それを満たしたかどうか“計測”しないことには、月々の給与額を導き出し、従業員に支給できません。
第2の理由は、人事評価を行うためです。所定労働時間を守るということは、勤務態度がよいと見なされてきた日本では、それが今後の昇給や昇進につながっていきました。
第3の理由は、働きすぎを防止するためです。日本は世界的に長時間労働の国として知られており、実際、過労を起因とする従業員の死亡事故が後を絶ちません。これを受け、誕生したのが「働き方改革関連法」です。時間外労働の上限規制や年次有給休暇の確実な取得など、既存の労働法を強化する形で2019年4月1日から順次施行されています。法律が許容する範囲を超えて従業員が働くことのないように、会社が目を配らなければいけません。
2020年、私たちは全社規模のテレワークという前例のない経験をしました。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための、やむを得ない措置でした。全員が自宅で働くとなると、オフィスに全員が出社して働くのに比べて、誰がどれだけ働いたか正確に把握しにくくなります。そのため「いっそのこと管理をやめて、成果主義に移行すればよい」という意見も出ました。給与も昇進も、本人の達成した成果によって決定しようというわけです。今回の経験をもとに、これからテレワークは多くの企業で導入が進むと思われ、成果主義の導入も1つの見識となるでしょう。そこでも懸念されるのは、働きすぎです。日本人は本質的にまじめな国民なので、人の目があってもなくても、怠けるよりも働きすぎる傾向があります。ですから、従業員の心身にわたる健康度をモニタリングする上で、勤怠管理はやはり重要であり続けるのです。
これまでの勤怠管理における問題
かつて主流だったのは“台帳”でした。部署の入り口に大きな台帳が備えつけられ、自分の名前のある欄に出退勤時間を書き、印鑑を押すという経験をお持ちの方もいるかもしれません。
従業員が1枚1枚カードを持ち、出退勤時刻に打刻をするというタイムカード式の勤怠管理もあります。
こうした手作業の勤怠管理には問題があります。従業員が恣意的に出退勤時間を操作可能であるため、正確な勤務時間を把握できません。また、紙での管理はその内容を組織で共有することが難しく、紛失のリスクもあります。さらに、給与計算を行うための集計作業も労働集約的で、ヒューマンエラーから逃れることはできませんでした。
勤怠管理のシステム化メリット
勤怠管理はシステム化が可能です。非常にシステム化に適した分野で、パッケージ製品・サービスもいろいろあり、システム化すれば従業員、上長、管理部門それぞれが、多大なメリットを享受できます。たとえば打刻に関しては、社員証やPCやスマートフォン、専用端末など、出退勤の実情に合わせて複数の候補から選択でき、打刻時間も正確に反映されるようになります。また、月々の労働時間や休暇の取得状況などの情報が常に集計済みデータの状態で表示され、従業員も上長も管理部門も、勤怠状況の確認と共有が容易に行えます。
また、上記のように集計はシステムが行い、給与計算へのデータ受け渡しも簡単に行えるため、管理部門の業務工数が削減され、集計ミスを防げます。さらに、パッケージであれば法改正も製品やサービスを提供するベンダー側が行うため、社内で対応に煩わされることはありません。
お薦めの勤怠管理システム「J-MOTTO Web勤怠」
中でも、「J-MOTTO Web勤怠」はお薦めの勤怠管理システムです。ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社のクラウド勤怠システム「AKASHI」のスタンダードプランをベースにしており、グループウェア「J-MOTTO」のオプションサービスとしてご利用いただけます。
「なんだ、グループウェアのオプションなのか」と思われるかもしれません。しかし、実はここが大きなポイントです。すでに「J-MOTTOグループウェア」をご利用であれば、「J-MOTTO Web勤怠」のために新たなユーザー登録やID管理を行う必要はありません。すぐにシングルサインオン環境で利用を開始していただけます。機能が1つ増えたような感覚で利用でき、運用管理を簡素化できます。
また、勤怠管理システムを軌道に乗せる上での壁に、“打刻忘れ”があるといわれます。つい仕事が先行してしまい、出退勤時の打刻を失念してしまうという現象です。
こうした問題も、グループウェアと連携する「J-MOTTO Web勤怠」であれば、容易に解決できます。従業員は出勤すると、自分へのお知らせやスケジュールをチェックするため、毎朝、グループウェアにログインします。そのポータル画面上には「J-MOTTO Web勤怠」の出退勤打刻ボタンも表示されているので、“打刻忘れ”が防げます。また、万が一、打刻を忘れた際にはアラートを出すこともできます。
加えて、「J-MOTTOグループウェア」のオプションは、ライセンス数が柔軟に設定できます。たとえば、“従業員は100名、しかし、そのうち40名が役員および派遣社員のため勤怠管理が不要”というのであれば、60ライセンスで契約することが可能です。その逆に、“グループウェアは本社部門でしか利用しないので30名分でいいが、勤怠管理は店舗スタッフも含めて100名で行う”といった適用も可能です。つまり、「J-MOTTO Web勤怠」は、「J-MOTTOグループウェア」とともにありながら、貴社の勤怠管理をフルにカバーするシステムといえます。下記に、さらなる特長を挙げてみました。
クラウドだから導入・運用が容易で低コスト
ハードウェアを調達したり、運用管理したりする必要はありません。クラウド提供のため、導入も運用も非常に容易で、ランニングコストも抑制できます。また、迅速な法改正対応はもちろん、新機能も次々追加されていきます。
使いやすいUI。PC、スマートフォン打刻だけでなく、ICカード打刻にも対応
シンプルでわかりやすく、誰でもすぐ使えるUI。そして、PCやiPad、スマートフォンに加え、FeliCa対応の非接触ICカード(Suica、PASMO、セキュリティカードなど)を使い、打刻できます。また、スマートフォンでの打刻時、GPSの位置情報を記録させることも可能。貴社の勤怠管理ポリシーに柔軟に対応します。
打刻漏れや残業時間の閾値超えなどでアラートを発信
従業員が自分の勤務状態を覚えているには限界があり、管理部門といえども従業員の労働時間を手作業でモニタリングし続けることは困難です。しかし「J-MOTTO Web勤怠」には、打刻漏れ時や36協定に沿ってあらかじめ設定した労働時間をオーバーした場合、管理者および従業員それぞれに警告のアラートを通知する機能を備えています。従業員、上長、管理部門のそれぞれが、“うっかりミス”を抑制し、労働基準法違反という重大なリスクを回避できます。
PC / スマートフォン / タブレットとマルチデバイスに対応
システム上のデータ閲覧は、PC / スマートフォン / タブレットとさまざまなデバイスで可能です。そのため、オフィス勤務や出張、テレワークなど、働く場所や働く時間にかかわらず、最新のデータを関係者間で共有できます。
複数の勤務体系にフレキシブルに対応
「J-MOTTO Web勤怠」では、従業員によって異なる労働条件を細かく設定することができ、個々の勤怠管理がよりスムーズに行えます。
図1:労働条件に合わせてフレキシブルに設定可能
簡単でわかりやすい年休管理
労働基準法の法改正を受け、追加された機能です。簡単かつわかりやすく年次有給休暇の管理を行えます。上長や管理部門だけでなく、従業員本人も年休取得状況が把握でき、周りが休暇を促したり、自らの働き方を見直したりすることができます。
図2:年休管理画面、適切な年休(有休)取得が行われているかを管理可能
スーパーフレックスでも大丈夫。労働時間の適正把握が可能
テレワーク導入に伴い、時差通勤やスーパーフレックス制度(コアタイムを無くしたフレックスタイム制度)などが導入された企業もあるかと思います。こうなると、従業員も上長も管理部門も、労働時間の把握が困難になりますが、「J-MOTTO Web勤怠」では、法定を基準とした残業時間などの労働時間を管理者と従業員が、ともにオンライン上で確認することができます。また、上長も管理している従業員リストを閲覧でき、より適切に労働管理が行えます。
他システムへのデータ抽出で業務を効率化
給与計算システムなど、他システムに対して勤怠データをCSV形式で抽出し、渡すことが可能です。抽出する項目や並び順は設定でき、「給与計算ソフトのインポートフォーマット用」や「経営会議報告用」「部門配布用」といったパターン別に登録できます。今までのような再入力の手間が省け、管理部門の業務の大幅な効率化が図れます。