MENU

中国式ロックダウン・「封城」について

column

2020年04月30日

利墨(上海)商务信息咨询有限公司  逢坂 興昌

日本では2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されました。そんな中、新型コロナウイルスの感染例が最初に報告された中国湖北省の武漢市は現地時間2020年4月8日、移動制限を正式に解除し、2020年1月23日から76日間続いたロックダウンが終了したと、国営新華社通信が報じました。

今回はロックダウンをしていた中国でどんな政策を行っていたのか、ご紹介していきます。

関連記事:「第58期 湖北省・武漢はどんな都市?

ロックダウンとは?

ロックダウン(Lockdown・中国語:封城 Fēng chéng)とは本来、「刑務所で囚人が房から逃げ出さないように自由を制限する措置」という意味ですが、現在では、新型コロナウイルスの感染防止を主な目的とした隔離・出入り禁止制限の意味を表す「都市封鎖」として使われています。

武漢市で実施したロックダウンとは?

武漢市人民政府公式サイトから、現時点(2020年4月)で20通の通告が行われております。中国で発令されている政策は、基本的には指示に従わなかった場合には罰則があるため、「強制力がある」ことが日本と違う特徴です。

現時点(2020年4月)では解除されていますが、実際具体的にどんなことが行われていたのか、主な政策に絞って、ご紹介していきます。

徹底した消毒作業

徹底した消毒作業
百度記事(新华社新媒体)より:武汉:喷药消毒

すべての交通機関の停止

2020年1月23日10時から、武漢市全域の路線バス、地下鉄、フェリー、長距離バスの運行を一時停止。空港、駅は武漢から出発するルートを一時閉鎖。(武漢市人民政府発表「第一号通告」)

スマートフォンアプリによる配車サービス(タクシー)の運営を停止。(武漢市人民政府発表「第五号通告」)

交通機関が停止したため、緊急で6,000台のタクシーを招集し、無料で管轄地区の移動手段として活用を可能とした。食品・薬などの宅配サービスとしても無料で利用可能。(武漢市人民政府発表「第八号通告」)

住民の外出制限

市民は特別な理由がない限り武漢を離れてはならない。(武漢市人民政府発表「第一号通告」)

マスク着用が必須

公共施設(ホテル、レストラン、ショッピングモール、公園、公共交通機関など)の運営者は、施設に入る顧客にマスク着用を要求して、マスクを着用しない人には、施設に入るのを控えるように指示するように求められる。マスクをつけない場合は、「公安管理違反となり、公安機関は法律に基づいて処罰し~」と記載があるように処罰される。(武漢市人民政府発表「第十三号通知」)

体温測定の義務化

1日2回(朝と午後)の体温測定と、37.3度以上になった際の報告、義務化。(武漢市人民政府発表「第十五号通知」)

配布されているQRコードから事前に健康状態を登録し、住宅団地などに入るタイミングで、管理者が読み取り、迅速にチェックする体制を整備。

武汉市人民政府HPより:武汉健康码使用方法

武汉市人民政府HPより:武汉健康码使用方法

感染した場合の措置

感染や発熱が発覚した場合、政府が用意した車で患者を指定の隔離施設に移動させ、治療や予防措置を提供する。政府からの指示に協力しなかった場合でも強制的に執行。(武漢市人民政府発表「第十号通知」)

1日2回の街の消毒

2020年2月9日から1日に2回(毎日午前10時と午後4時頃)集中的に消毒を実施。主な対象は、市の医療機関、集中隔離場所、社区、スーパーマーケット、ホテル、市場、公衆トイレ、ごみ収集場所など。

一部の地域で、2020年2月8日に夜通し、合計100トン以上の低濃度次亜塩素酸ナトリウム消毒剤が散布され、公共エリアと公共施設を集中的に消毒。

百度記事(中国青年网/CCTV新闻)より:湖北各地继续集中消杀 武汉全城一天消毒两次

百度記事(中国青年网/CCTV新闻)より:湖北各地继续集中消杀 武汉全城一天消毒两次

他にも中国各地での対策は、春節の延長、海外渡航者の2週間隔離や渡航禁止などの対策も行われており、どれも強制力がある内容が多く、また政策実施のスピードが速いため、日本以上に日々の情報収集が重要になります。

日本ではもちろんですが、中国でも武漢市から5万5千人が各地に戻りますので、まだまだ油断はできません。感染の危険性が高いのは、「三密(密閉、密集、密接)」であると言われていますので、そういった環境にはできる限り控えた行動ができるように、心掛けていきましょう。

一人ひとりが「リスク管理」を意識し、行動していくことで、この危機を乗り越えていきましょう。

  • 掲載しているブランド名やロゴは各社が所有する商標または登録商標です。
  • この情報の著作権は、執筆者にあります。
  • この情報の全部又は一部の引用・転載・転送はご遠慮ください。

中国コラムカテゴリーの人気記事