「テレワーク」「リモートワーク」「在宅勤務」が良く話題になっていますが、皆様はどのような対応をされていますか?現在では、日本から中国に帰れていない、中国にいるが14日間の隔離で家から出ることができない等、遠隔での指示、管理をしなければいけない「非常時」を体験されている人が多いのではないでしょうか。私も日本から、このコラムをお届けしています。
そこで今回は、「非常時」に少しでも通常通りの活動に近づけられるよう、テレワークでは何ができるのか、中国ではどのようなサービスがあるのか、どんな点を注意すれば良いのか、ご紹介いたします。
2.中国テレワークアプリ
中国でもテレワークが注目されており、百度の注目度指数によると、2月のテレワークの検索指数は前年同期比で491%増加、前月比で317%増加しています。
そこで実際に中国で人気のテレワークアプリを今回は各特徴に絞ってご紹介いたします。※基本的には前述したような、社内連絡を取るためのチャット、音声通話、出勤管理、タスク管理、スケジュール共有、電子決裁(ワークフロー)などの機能は共通して備わっております。
阿里巴巴集团アリババ集団が運営している「Ding Talk」は、ビジネス用コミュニケーションツールでは圧倒的なシェアを握っており、企業1,000万社、2億人超が利用していると公表され、企業と学校を中心に活用されています。最近では健康情報管理機能を追加するなど機能強化も図られています。
1. リマインド機能
Ding Talkは「人間は本来怠惰なもの」という性悪説ベースに設計されていると言われているのですが、特徴的なのはリマインド機能です。私自身は従業員の立場なので、窮屈だと感じてしまいましたが、管理側としては人のコントロールがしやすくなる機能なのかもしれません。
具体的には、メッセージ送信後、しばらくしても既読にならない場合、受信者側にはプッシュ通知や自動で電話がかかってきて読むことを促されます。
Ding Talk HPより
2.テレビ会議・オンライン授業機能
テレビ会議機能やPCの画面共有で最大302人まで会議に参加をすることができ、また「グループライブ」という講演機能も備わっています。
これを応用してできたものが、オンライン授業です。学生とファイル共有や質問などのコミュニケーションなど普段の学校と変わらずできるようになっています。授業後の復習や宿題もアプリ内で提出できるようになっています。
Ding Talk HPより
腾讯テンセントが運営している「WeChat Work」では、中国生活で必須のコミュニケーションアプリとなったWeChatと連動する点が一番の売りです。WeChatのプライベート用コミュニケーションツールでは圧倒的なシェアを誇っていますが、ビジネス用コミュニケーションツールでは20年1月で利用者約6,000万人と「Ding Talk」と比べると少し遅れを取っているようです。
1. お客様との連絡も簡単
企業アカウントからお客様の普段活用しているプライベート用のWeChatへメッセージを送ることができます。企業として管理することができるので、お客様の引継ぎなどに手間がかかりません。
WeChat Work HPより
2.モーメンツ(朋友圈)へ広告、支払いも完結
旅先での写真や、気になる記事をシェアするなど、情報共有ができるモーメンツですが、そのモーメンツに企業広告として発信ができ、反応などの集計、支払いまで一元管理ができます。
WeChatのプラットフォームを上手く活用したサービス展開です。プライベート用WeChatとの連動している関係で、導入事例には一般消費者向けサービスを展開している企業が多いように感じます。
WeChat Work HPより
他にもTik Tokを運営している字节跳动バイトダンスでは「飞书 Lark」、华为技术ファーウェイでは、「华为云WeLink」など、中国大手企業が相次いでテレワークアプリを展開していますので、ますます注目されるサービスであることは間違いないのではないでしょうか。
3.やっぱり導入は不安?
テレワークアプリが気になっている、使うべきだと思っているが、なかなか一歩が踏み出せないという方も多いのではないでしょうか。その踏み出せない多くの理由は「不安」がたくさんあるからではないでしょうか。
テレワークアプリを導入したとしても、使いこなせなければ全く意味がありません。テレワークでの不安、意識したほうが良い点をご紹介いたします。
コミュニケーションが取りづらくなるのでは?
現場では連絡を取りたい人が、目の前にいるので、気軽に相談や打ち合わせができる、表情もわかる、というのがメリットです。
その反面、今回のような非常時や拠点間でのコミュニケーションでは、物理的に難しく、直接コミュニケーションするために移動の費用や時間がかかってしまいますので、普段からリモート・遠隔でもコミュニケーションが取れる環境を整備しておくのも大事なカギとなります。
1.普段と変わらない環境へ
チャットの機能では個人や複数問わずに、気軽かつスピーディーに連絡が取れます。レスポンスがない場合は、電話などを活用して催促することで、コミュニケーションエラーを少なくすることもポイントです。
2.1日数分でも顔合わせ
会社への帰属意識が薄れるのも不安だと思います。テレビ電話、テレビ会議を活用し、毎日5分でも顔を合わせる時間を作って、一体感を失わせないように意識しなければいけません。
本当に働いているのか?評価しにくいのでは?
普段の現場ではどのように管理していますか?目の行き届くところで確認ができるが、実際のところ何をどこまで実行できているのかは、現場でも把握しづらい。といったことは、どの企業にもあるのではないでしょうか。こちらの問いでは、非常時に限らず、普段の業務見直しのきっかけにもつながるポイントだと思います。
1.スケジュールとタスクの明確化
現在何をどこまで作業しているのかをインターネット上のアプリで共有することで、行動の明確化ができます。行動の数値化まで行うと、進捗の確認をすることができ、評価も行いやすくなります。無駄な作業を指摘できる環境にもなるので、効率を上げていくきっかけにもなり一石二鳥です。
2.習慣化
実践するためには、習慣化させないといけません。日々記入のリマインドとチェック、会議での報告方法を統一させて強制的に使わせるなど、地道に習慣化させるようにしていきましょう。
ネットワーク環境・セキュリティ面は?
働く場所によってネットワークの環境が悪い場合もあり、通常の環境とは異なるため、生産性が落ちるという危険もあります。また、現地スタッフのセキュリティに関する知識が乏しい点も外部で作業をする上での心配となる点だと思います。セキュリティ対策は、企業の信頼性向上にも繋がります。
1.現地スタッフへのセキュリティ教育
上司と離れた環境での仕事は、監視されていないので、現場で行うよりも意識が薄れてしまいます。行ってはいけないことは何か、決まりを明確にさせ、定期的な教育を行うことで、意識向上を図ることが必要です。
2.セキュリティ管理が安心なサービスを活用する
日本で使っているサービスが通常のネットワークではそのまま使えない場合があります。VPNを使わなくても良いサービス、かつサポートが充実しているアプリを活用することが大事です。無料版のサービスだとサポートをどこまで行うかが不透明な場合があるので注意が必要です。
弊社も実践していますが、最初はなかなか慣れるまで戸惑いがあります。一番はスタッフ全員で「習慣化」することが大事です。テレワークアプリが発達してきているので、現地スタッフの意識を少し変えて定例化させるだけで、非常時でも通常通りの活動ができ、拠点間のコミュニケーションエラーを減らすことができます。さらに通常業務の効率化にも、期待できますので、一度実践してみてはいかがでしょうか。
利墨では中国の与信管理サービスを展開しておりますが、それとともに日中両言語対応のグループウェアを提供しております。この度2020年4月よりバージョンアップをいたします。日中両言語のサポートが充実し、操作も簡単なサービスなので、この「非常時」に一度お試しください。