企業にとって、必要不可欠なITツールであるグループウェア。しかし、「グループウェアという言葉はよく聞くけれど、今ひとつ、よくわからない」と思われる方も多いかもしれません。
グループウェアとは何?どんなことに使えるの?など。ここでは、グループウェアの概念とその導入メリットなどをわかりやすく解説します。
グループウェアとは何なのか?
グループで何か作業する時、“足並みを揃える”、つまり協調・協業することが重要で、それを円滑に進めるためには情報の共有が欠かせません。しかし、人はどんなに仲が良くても以心伝心というわけにはいきません。プロジェクトの進捗はどうなっているか?いつ会議できるか?どこへ集合するか?など。これらを確認するには、何らかの手段を講じる必要があります。もしそれが、電話しかないとしたらどうでしょう。電話は相手が出なければ要件は伝えられず、向こうの意向もわかりません。現在は電子メールやSNSがあり、相手の状況などに関係なく、要件を伝えられます。しかし、返事が迅速に返ってくるという保証はありません。
このようにグループで協調・協業を考える時、最初に立ちはだかるのが意思疎通の壁です。これをITの力で解決しようというのがグループウェアです。働く仲間の情報や仕事の状況を1つに統合管理でき、それらを公開・共有することで共創を生み出すとともに、協調・協業を加速させる効果があります。
図1:グループウェアは組織のハブとなって、情報の共有・公開・共創を実現
グループウェアの代表的な機能
それでは、グループウェアには具体的にどんな機能があるのでしょうか。その機能は非常に多彩で、さまざまな角度からグループの協調・協業を後押しします。ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
1.スケジュール
個人スケジュールとグループスケジュールが同時並行で管理できます。上司や同僚の行動予定も一目で把握でき、会議の時間調整や行事の日程調整を効率よく行えます。
2.設備予約
会議室や社用車、プロジェクタなど、組織の共用設備を一元的に管理できます。また、その予約や利用状況を自席にいながらにして実行・確認が可能です。
3.インフォメーション(掲示板)
人事通知など、社内の通達事項やお知らせを掲載できます。発信する内容や部門ごとにカテゴリ分けできるので、メールでの共有と違って情報が埋もれることがありません。閲覧可能な人や公開日時の制限も可能です。
4.ワークフロー
上司の承認や担当部門への提出が必要な各種届出や申請書類を、迅速に作成して承認フローに乗せられます。承認は出先からでも可能なので、決裁業務がスピード化します。
5.文書管理
社内の規定集や契約書の雛形など、日々参照する重要な社内文書を一元管理できます。その都度、席を立って取りにいったり、ファイルサーバ上を検索する必要がないため、効率よく業務が行えます。
6.電子会議室
オンライン環境で、自由にメンバー間で意見交換が行えます。時間や場所の制約を受けないため、組織横断プロジェクトやバーチャル組織のコミュニケーションスペースとしても活用可能です。
7.ToDo
個人が担当する作業や依頼された仕事(タスク)、メンバーに依頼したタスクを一元管理できます。期日や重要度を一瞬にして把握可能で、作業が完了したかどうかも画面上で確認できます。
図2:グループウェアの機能例(クラウド型グループウェア「J-MOTTO」の基本機能より)
グループウェアを導入するメリット
何といっても最も大きい導入メリットは、迅速な情報共有による仕事の効率化です。いちいち当事者に確認しなくても、画面上で状況がつかめるため、素早く次のアクションに移れます。それによって、より重要な仕事により多くの時間を割くことができます。
また、個々人の仕事状況が可視化される効果も大きいです。働き方改革が叫ばれる今日、組織の規模を問わず、過剰労働は抑制する必要があります。グループウェア上で情報を共有することで、仕事の偏重チェックも容易に行えます。
さらに、時間と距離の制約を超えることから、異なる勤務地、異なるタイムゾーンで働くメンバー同士がグループウェア上で出会えます。そこで知見を交換したり、親睦を図るなど、組織全体でのコミュニケーション活性化が図れます。
そして、意外にあなどれない効果はペーパーレス化です。文書管理やワークフローをグループウェアへ移行したり、アンケートをWeb上で実施したりすることで、紙の保管スペースや印刷にかかるコストを削減できます。
社内管理とクラウド、それぞれの長所・短所
グループウェアが最初に登場したのは1990年代のことで、当時は組織がそれぞれにサーバを導入、PCにクライアントソフトウェアをインストールして、運用管理していました(以下、こちらをオンプレミスと称します)。しかし、インターネットの進歩により、Webブラウザで利用できるクラウド型システムが登場、現在ではこちらが主流になっています。オンプレミス型とクラウド型、それぞれメリット・デメリットがあります。ここで簡単に比較してみましょう。
オンプレミス型のメリットは、組織の風土・文化に応じてきめ細かく機能をカスタマイズできる点です。デメリットとしては、サーバを自社で調達する必要があり、サーバおよびクライアント用ソフトウェアを運用管理し続ける作業負荷や費用などのコストは多大です。
クラウド型はオンプレミス型とは反対の特長を持っています。サーバを調達する必要もなければ、サーバおよびクライアントソフトウェアを社内で運用管理する必要はありません。インターネット接続環境とWebブラウザさえあれば、どこからでも利用可能です。その一方で、クラウド型は多くの組織で共同利用することを前提としているため、カスタマイズは難しいでしょう。しかし、運用管理が発生しない点は、それを補って余りあるほど多大です。もはやクラウドへの移行はグループウェアのみならず、他のアプリケーションにおいても止められない流れになっています。
図3:オンプレミス型とクラウド型の比較
|
オンプレミス型グループウェア |
クラウド型グループウェア |
導入コスト |
▲ |
◎ |
導入期間 |
× |
◎ |
運用負荷・コスト |
▲ |
◎ |
カスタマイズ性 |
◯ |
△ |
まとめ:グループウェア選びのポイント
グループウェアは組織内の業務の効率化やコミュニケーションの活性化を支援するツールで、一度導入してしまうと、長く使い続けることになります。使い始めてから「こんなはずではなかった!」と後悔しないためにも、どのような目的で使用したいかなど事前に時間をかけて検討することをお薦めします。
まず、自社で利用するグループウェアの機能が何かを確認することが重要です。機能の数で料金が上がるグループウェアも多いので、不要な機能はできる限り付けたくありません。また、操作が簡単かどうかも事前にチェックすべきです。クラウド型のグループウェアには、無料の試用期間を用意しているものもあり、事前に使い勝手を確認しておきましょう。
そのほかにも押さえておきたい選定ポイントがあります。それらをわかりやすく解説した資料をご用意しましたので、ご覧ください。
グループウェア選び方ガイド