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「中国のゴミ分別」について

column

2019年04月24日

利墨(上海)商務信息咨詢有限公司 副総経理 河原吉虎

今回は中国のゴミの分別についてご紹介します。中国人が日本を訪問して驚くことの1つに「街頭にゴミ箱がないのにとても清潔」というものがあります。逆に中国では、路上や公園、街中のショッピングセンター施設内、地下鉄駅の構内などいたるところでゴミ箱を見かけます。

「中国のゴミ収集について」

左が世界遺産である万里の長城内に置かれたゴミ箱です。右の写真は街中のゴミ箱です。2つのBOXに別れ、回収ゴミとそれ以外で、中央部にあるのがタバコの吸殻入れ、というのがよく見かけるゴミ箱スタイルです。道々ではゴミ箱を探す必要が無いくらいに高頻度で配置されています。
家庭やオフィスでのゴミについては、日本のように「ゴミの日(ゴミの曜日)」が決まっていて、その曜日に出す。ということはせず、マンションやオフィスビルであれば各階の廊下などにゴミ箱スペースがあり、燃えるゴミ、燃えないゴミ、リサイクルゴミ、電池などの有害ゴミなどゴミの種類を問わず、随時出して、毎日回収されるというものです。
昔ながらの集合団地などでは、ゴミステーションが設置され、住民は随時、そこに捨てます。
フードデリバリーやECサイトでの購入・配達がごく日常的に利用されますので、本当にたくさんのゴミが出ます。あまりごみ分類すること無く、随時捨てることが出来ますので、家庭内やオフィス内を清潔に保つことが出来ます。
ゴミを捨てる中国人としては分別の意識も必要性も感じていなく、誤解を恐れずに言えば、ごみ収集に携わる人の仕事を奪ってしまわないように。くらいの感覚でおおらかにゴミを捨てています。

「上海市生活ゴミ管理条例 2019年7月1日施行」

中国経済の発展と、所得の向上、生活スタイルの変化によりゴミ問題は中国でも社会問題となっており、2017年3月に中国の国務院から「生活ごみ分別制度実施計画」が発布され、筆者のいる上海市でもこの2019年7月からゴミを4種類に分類し回収することを始める、となりました。

左が筆者の住居内に置かれたゴミ分類表です。右側は弊社オフィス内に設置されているゴミ分類の案内です。同じような内容でゴミを

  • 有害ゴミ(電池や蛍光灯、薬品など)
  • 湿ったゴミ(飲食物のあまりなど)
  • リサイクル可能ゴミ(プラスチック・ガラス・金属類など)
  • 乾いたゴミ(上記以外の一般生活ごみ)

の4つに分類することとして、その具体例がイラストとともに掲載されています。

TVでも、ゴミ分類のCMが流れたり、ニュース番組でも取り上げられたりしています。

写真は上海のある地域でスマートゴミステーションが設置されたというニュースです。
また、ショートメールでも上海市生活ゴミ管理条例が通ったよと通知がきました。

施行までに市民への意識付けが盛んに行なわれており、重要性が伺えます。

分別の意識が無いのに、施行できるのかと疑問にも思いますが、中国では意識にかかわらず施策を導入し定着させてきた実績があります。数年前、中国でタバコの屋内施設での禁煙が一斉に行なわれ、定着しました。実施成功のポイントは、喫煙した個人への罰金はもちろんのこと、喫煙した場所の管理者側にも罰金をかし、また、定期的に警察が見回りを行い、実際に処罰を行なったためです。
今回のゴミ分別も、上海市の条例では、個人に最高200元の罰金、事業者には最高で50万元の罰金を取ると定めています。
ゴミの分別も7月からどれだけ監視して、どれだけ罰金を適用していくかが定着のポイントと思われます。

中国の都市部では、自動車やもちろん、電動バイクや歩行者の信号無視が本当に少なくなっています。その理由は、監視カメラと識別システムが道路や交差点のいたるところに設置され、信号無視の違反者は、車のナンバープレートや顔識別によって特定され、罰金が貸されるようになったためです。

中国にお越しの際は、交通ルールを守ることをお勧めします。
今後のゴミ分別の運用状況について注視して行きたいと思います。

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