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まだまだあるぞ!4/1以降の働き方改革対応

column

2019年03月19日

社会保険労務士法人味園事務所 特定社会保険労務士 味園公一

働き方改革関連法の施行日である4月1日がそこまで迫っています。年次有給休暇の5日間の強制付与、時間外労働の上限規制に加え企業が対応すべき事項はまだいくつもあります。
前回のコラムで、36協定届に関して様式の紹介のみしましたが、今回はその作成注意点と、労働時間の適正な把握(労働安全衛生法関係)についてご紹介します。

36協定届

今回の法改正によって法律に時間外労働の上限が規定されたため、36協定で定める必要がある事項が変わりました。このため、36協定届の新しい様式を策定しています(前回コラム表中の中小企業は2020年4月1日以降)。

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_00072.html

時間外労働又は休日労働を行わせる必要がある場合には、以下の事項について協定した上で、36協定届(様式第9号)を所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。

  • 労働時間を延長し、または休日に労働させることができる場合
  • 労働時間を延長し、または休日に労働させることができる労働者の範囲
  • 対象期間(1年間に限る)、1年の起算日、有効期間
  • 対象期間における「1日」、「1か月」、「1年」について、労働時間を延長して労働させることができる時間または労働させることができる休日
  • 時間外労働+休日労働の合計が月100時間未満、2~6か月平均80時間以内を満たすこと

臨時的な特別の事情があるため、原則となる時間外労働の限度時間(月45時間、年360時間)を超えて時間外労働を行わせる必要がある場合には、さらに以下の事項について協定した上で、新しい36協定届(様式第9号の2)を所轄労働基準監督署長に提出する必要があります。

  • 臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合における1か月の時間外労働+休日労働の合計時間数(100時間未満)、および1年の時間外労働時間(720時間以内)
  • 限度時間を超えることができる回数(年6回以内)
  • 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置限度時間を超えた労働に係る割増賃金率
  • 限度時間を超えて労働させる場合における手続

36協定の締結に当たって注意すべきポイント

  • 従来の延長することができる期間は、「1日」「1日を超えて3か月以内の期間」「1年」でしたが、上限規制の適用後は、「1日」「1か月」「1年」のそれぞれの時間外労働の限度を定める必要があります。
  • 1年の上限について算定するために、協定期間の「起算日」を定める必要があります。なお、この起算日は有効期間の初日と揃えると運用がしやすいです。
  • 36協定で定める上限時間内で労働させた場合であっても、実際の時間外労働と休日労働の合計が、月100時間以上または2~6か月を平均して80時間を超えた場合には、法違反となります。新様式では、この点について労使で合意したことを確認するためのチェックボックスが設けられていますので、このボックスに必ずチェックを記入してください。
  • 特別条項において、限度時間(月45時間・年360時間)を超える時間外労働を行わせることができるのは、通常予見することのできない業務量の大幅な増加など、臨時的な特別の事情がある場合に限ります。臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合の事由については、できる限り具体的に定めなければなりません。「業務の都合上必要な場合」、「業務上やむを得ない場合」など、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません。

労働時間の適正な把握

労働時間の状況の把握は、タイムカードによる記録、パソコン等の使用時間の記録等の客観的な方法や、使用者による現認が原則となります。これらの方法をとることができず、やむを得ない場合には、適正な申告を阻害しない等の適切な措置を講じた上で自己申告によることができます。
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年)では、会社が講ずべき措置を具体的に明らかにしています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html

このガイドラインでは、管理監督者やみなし労働時間制が適用される労働者は対象外となっていますが、今回の法改正においては、長時間労働者に対する医師による面接指導の履行確保を図るため、労働安全衛生法を改正し、これらの方の労働時間の状況(労働時間の状況・・・いかなる時間帯にどのくらいの時間、労務を提供しうる状態にあったかという概念。)についても、労働安全衛生規則に規定する方法で把握しなければならないこととなりました。
なお、会社は労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存する必要があります。

(参考資料)厚生労働省HP(「働き方改革」の実現に向けて)

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