新年会・賀詞交歓会漬けの1月も過ぎました。毎度感じますが、ひと月が経つのは早いものです。本年4月1日施行の働き方改革関連法案に向けた準備も、特に大企業では進めていらっしゃると思います。中小企業も翌年までの対応に遅れぬよう、今一度確認しておきましょう。
中小企業の適用等
時間外労働の上限規制の適用は、中小企業に対しては1年後の2020年4月1日から適用されます。中小企業の範囲は以下の基準により、企業単位(事業場単位ではない)で判断されます。
業種 |
資本金額又は出資の総額 |
|
常時使用する労働者数 |
小売業 |
5,000万円以下 |
または |
50人以下 |
サービス業 |
5,000万円以下 |
100人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
製造業 建設業 運輸業 その他 |
3億円以下 |
300人以下 |
また上限規制の適用に当たっては、経過措置が設けられており、有効期間が本年(中小企業は2020年)4月1日以後の36協定に対して適用されます。よって、本年3月31日を含む期間について定めた36協定には、その有効期間中は上限規制が適用されないことになります。
さらに、「建設事業」、「自動車運転の業務」、「医師」に対しては上限規制の適用が5年間猶予されて2024年4月1日からとなります。また、「鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業」に対しては、前述の100時間未満、80時間以内の上限が2024年3月31日まで適用されません。
上限規制違反による罰則
法律上の上限基準に違反すると罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科される場合があります。「場合がある」と言っているのは、罰則が適用される流れが以下の通りだからです。
まず、労基署が法違反を確認できるのは、ほぼ次の2つのケースしかありえません。
1.労働者からの申し立てによる。
2.労基署の臨検・監督(定期の調査)により判明する。
そして、法違反が判明した後の流れは次の通りとなります。
①労基署が是正勧告
⇒(改善)是正報告で終了。刑事罰はなし。
⇒(改善しなかった場合、若しくは改善予定でも事案が悪質な場合)検察に書類送検。会社と事案は厚労省HPで公表される。
②検察での判断
⇒(不起訴)刑事罰はなし。もちろん改善して是正報告は必要。
(起訴)裁判での判決により刑が確定。
罰則については、原則1人1罰ではありますが、その度合い、併合罪等を鑑みて刑が確定することになりますので、最大一人につき30万円、最大一人につき6か月懲役(こちらは合算は考えづらいです)と考えて下さい。
36協定届
4月1日以降を有効期間とする36協定の様式も新様式に変わります(中小企業は2020年4月1日以降)。以下にURLを記しますので、記載例も合わせてご参考にしてください。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_00072.html
(参考資料)厚生労働省HP、東京労働局HP