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中国・中央アジアサミット:地域協力の新たな展望

column

2023年07月05日

利墨(上海)商务信息咨询有限公司  高名 宏明

中国・中央アジアサミットは、中国と中央アジア諸国との間で行われる地域協力の枠組みです。このコラムでは、中国・中央アジアサミットの成り立ち、目標、および重要性について探求し、地域の協力と発展に与える影響を考察します。

 

成り立ちと経緯

中国は1992年から中央アジア諸国と外交関係を築き、交流と協力を進めてきました。2022年1月、習近平主席は中央アジア5か国との外交関係樹立30周年のビデオ会議を開催しました。その会議で中国と中央アジア5か国は共同声明を発表し、新たな関係と友好的なパートナーシップの構築、そして中国・中央アジア共同体の設立を発表しました。2022年6月には「中国・中央アジア5か国」外相会議が行われ、中国・中央アジア首脳会議機構の設立が合意されました。

中国は中央アジア諸国との関係を大切にし、交流と協力を進めてきました。最近では中国と中央アジア5か国の間でさらなる協力を目指す取り組みが行われており、経済や安全保障などの分野での連携が強化されています。

参照:谱写中国中亚友好合作新篇章(大使随笔)
http://world.people.com.cn/n1/2023/0513/c1002-32685235.html

参加国について

中国・中央アジアサミットの参加国は中国を含めた6か国です。

  • ・中国(人口:約14億人、GDP:約18兆ドル)
  • ・カザフスタン(人口:約1,920万人、GDP:約2,000億ドル)
  • ・キルギス(人口:約670万人、GDP:約110億ドル)
  • ・タジキスタン(人口:約1,000万人、GDP:約87.5億ドル)
  • ・トルクメニスタン(人口:約650万人、GDP:約780億ドル)
  • ・ウズベキスタン(人口:約3,520万人、GDP:約800億ドル)

中国が他参加国と比較し、圧倒的に人口もGDPも高いため、サミットは中国主導で行われたものと考えられます。しかし、カザフスタンは石油生産量、石炭生産量が世界的に見ても多い国で世界的な競争において重要な資源国もサミットに参加しています。



参照:习近平主持首届中国-中亚峰会并发表主旨讲话
http://www.rmzxb.com.cn/c/2023-05-30/3353205.shtml


今回のサミットでの目標と取り組み

今回のサミットにて中央アジア諸国と中国は経済的なパートナーシップを強化しました。エネルギーや交通などの協力が広がり、地域の経済統合やお互いに頼り合うことが増えると考えられます。安全保障面でも、テロリズムや国境を越える犯罪に取り組む協力が進んでいます。この会議は中国と中央アジア諸国の友好関係と協力の深化を表し、両地域の発展と繁栄に寄与することが期待されています。

また、今回のサミットの開催地は中国の西安市となっております。西安市はかつて「長安」と呼ばれ、紀元前に作られた「シルクロード」の起点となっていた都市です。この都市でサミットを開催した意図として「シルクロード経済帯」を進めたい思いがあると考えられます。



参照:中国中亚携手构建更紧密命运共同体
http://news.youth.cn/gj/202305/t20230525_14540358.htm


重要性と影響

中国・中央アジアサミットは、中央アジア諸国の政治的安定と経済的発展において重要な役割を果たすのではないかと考えられます。

また、中国はこのサミットを通じて中央アジア諸国の関係強化に寄与し、サミット参加国間での対話と協力の枠組みを提供する事を発表しております。中国の狙いとして、相互の信頼関係を深め、中央アジア諸国での覇権国となり中央アジアで影響力を持てるよう画策していると考えられます。

 

まとめ

中国・中央アジアサミットは、中国としては中央アジア諸国での影響力を持ちたいという思惑と中央アジア諸国の経済的発展をしたいという思惑が重なって開催されたものと思われます。今後、中国はサミット開催国に対してさらなる投資を増やしていくのではないかと思われます。今後中国の経済指針は大きく変わる可能性がありますので、中国企業と取引している企業はより一層中国経済を注視する必要があるかと思います。

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