1.企業倒産が増えています。
企業倒産件数は2002年以降減少傾向にありましたが、2005年を底に増加傾向に転じています。
今後はいわゆるサブプライム問題や資源・原料高騰、マーケットの混乱により中小・零細企業を中心に増勢が続くと見られ、与信管理の重要性が高まっています。
2.回収が困難な法的倒産が増えています。
1997年に13%であった法的倒産の割合は2007年には64%となり(東京商工リサーチ調べ)明らかに倒産形態の主流が変化しています。
「早い者勝ち」や「抜け駆け」を許さない法的倒産は私的倒産と比べ配当率が非常に低く、事前の予防対策(=与信管理)の重要性が増しています。
3.隠れ倒産が増えています。
事務コスト削減等を理由に手形を発行する企業が減少し、2006年の手形交換高はピーク時である1990年の10分の1にまで減少しています。
これに伴い銀行取引停止処分の件数も大きく減少しており、統計上は倒産件数にカウントされない「隠れ倒産」が増加していると推測されます。
4.与信情報の収集が困難になっています。
企業の恣意的な操作が入り易い会計上の利益と比べ申告所得はいわば税務当局のお墨付きであり、高額納税法人(4,000万円を超える所得を
申告した企業)は優良企業の代名詞として与信判断の際に有力な判断材料とされてきました。
高額納税法人申告公示制度の廃止により、取引先の情報を自社で収集し、調査・分析することで自衛しなければならず、与信管理の重要性が
ますます高まっています。
5.内部統制システムの構築義務化により第三者に説明出来る与信管理体制の構築が不可欠になっています。
会社法では大会社に対し内部統制システムの確立を義務付けています。また、金融商品取引法では、上場会社に財務報告に関する内部統制構築を求めています。
不祥事等のリスクを回避し業務を健全化するために、あるいは売掛債権の健全性や貸倒引当金の正当性についてステークホルダーの信頼を 得るために、与信管理体制を構築し信用リスクの評価、統制、モニタリングについて説明することが求められています。