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働き方改革(時間外労働の上限規制)

column

2019年02月20日

社会保険労務士法人味園事務所 特定社会保険労務士 味園公一

新年会・賀詞交歓会漬けの1月も過ぎました。毎度感じますが、ひと月が経つのは早いものです。本年4月1日施行の働き方改革関連法案に向けた準備も、特に大企業では進めていらっしゃると思います。中小企業も翌年までの対応に遅れぬよう、今一度確認しておきましょう。

法改正の内容

「1週40時間以内及び1日8時間以内」、「毎週少なくとも1回若しくは4週間に4日」が労基法で定める労働時間及び休日の定めですが、労使合意に基づく36協定を労基署に届け出ればこれを超えて労働させることができます。
36協定で定める時間外労働は、厚労大臣の告示により上限基準が定められています。また臨時的な特別の事情がある場合には特別条項つき36協定を締結することにより、この上限基準を超えて労働させることが可能です。
4月1日以降は、月45時間、年360時間が“法律上の時間外労働の上限”となり、特別条項を締結する場合であっても次の基準を守る必要があります。

①時間外労働が年720時間以内
②時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
③時間外労働と休日労働の合計が2か月から6か月を平均して、いずれも月80時間以内
④時間外労働が45時間を超えるのは、年6回が限度

720、100、80と数字が注目されますが、「休日労働」を含むのか否か、「以内」なのか「未満」なのかも意識して見てください。

少々分かりづらいのですが上記②及び③については、特別条項の有無に関わらず、1年を通して常に遵守する必要があります。例えば、時間外労働が40時間でも、休日労働60時間により月合計100時間となると違法になります。

中小企業の適用等

時間外労働の上限規制の適用は、中小企業に対しては1年後の2020年4月1日から適用されます。中小企業の範囲は以下の基準により、企業単位(事業場単位ではない)で判断されます。

業種 資本金額又は出資の総額   常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 または 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
製造業 建設業
運輸業 その他
3億円以下 300人以下

また上限規制の適用に当たっては、経過措置が設けられており、有効期間が本年(中小企業は2020年)4月1日以後の36協定に対して適用されます。よって、本年3月31日を含む期間について定めた36協定には、その有効期間中は上限規制が適用されないことになります。

さらに、「建設事業」、「自動車運転の業務」、「医師」に対しては上限規制の適用が5年間猶予されて2024年4月1日からとなります。また、「鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業」に対しては、前述の100時間未満、80時間以内の上限が2024年3月31日まで適用されません。

上限規制違反による罰則

法律上の上限基準に違反すると罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科される場合があります。「場合がある」と言っているのは、罰則が適用される流れが以下の通りだからです。

まず、労基署が法違反を確認できるのは、ほぼ次の2つのケースしかありえません。
1.労働者からの申し立てによる。
2.労基署の臨検・監督(定期の調査)により判明する。

そして、法違反が判明した後の流れは次の通りとなります。
①労基署が是正勧告
⇒(改善)是正報告で終了。刑事罰はなし。
⇒(改善しなかった場合、若しくは改善予定でも事案が悪質な場合)検察に書類送検。会社と事案は厚労省HPで公表される。

②検察での判断
⇒(不起訴)刑事罰はなし。もちろん改善して是正報告は必要。
(起訴)裁判での判決により刑が確定。

罰則については、原則1人1罰ではありますが、その度合い、併合罪等を鑑みて刑が確定することになりますので、最大一人につき30万円、最大一人につき6か月懲役(こちらは合算は考えづらいです)と考えて下さい。

36協定届

4月1日以降を有効期間とする36協定の様式も新様式に変わります(中小企業は2020年4月1日以降)。以下にURLを記しますので、記載例も合わせてご参考にしてください。

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_00072.html

(参考資料)厚生労働省HP、東京労働局HP

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